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Posted on 2026年03月15日 18:00

原田龍二「誰がなんと言おうと霊はいる!」〈今週の龍言〉三枚目の「陣川公平」役は女性にハメられるほど面白い

2026年03月15日 18:00

 ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)の陣川公平役。この役には思い入れがあります。

 陣川は警視庁捜査二課の刑事で階級は警部補。おっちょこちょいで女性に騙されやすいというキャラクターの刑事です。実は、大阪・寝屋川出身という設定なので今までに何度か「そやなー」とか言ってみたこともありました。

 それと気づいてる方がいるかどうかわかりませんが陣川の髪型、毎回違うんですよ。僕の出演は基本的には毎シーズンごとに1回、つまり年に1度。いつオファーが来るかわからないので、原田龍二のまま出てるという感じです。スケジュールが合わずに出演が流れちゃうこともあるんですよ。

「相棒」の初出演は04年シーズン3の第6話。僕は34歳でした。今は55歳になりましたが、陣川のキャラクターは22年経っても変わりません。

 豊さんの杉下右京や寺脇康文さん演じる亀山薫にいたっては、26年にわたってずっと同じ役です。驚異的ですね。「役者の年齢=キャラの年齢」であれば、すでに杉下右京は73歳になり、亀山薫だって64歳ですから。

 2人とも警視庁に勤める地方公務員なので、とっくに引退している年齢です。亀山薫もいつまでもMA‒1のジャンパーを着て、街中を走り回ってる場合じゃないってことですよ。

 そのぶっ飛んだ設定が相棒です。それを平然とやってる面白さ。ご覧になっている方はわかると思いますけど、陣川って永遠の若手なんです。

 ベテランになっていけばドジな部分というのはなくなっていくのに、ベテランじゃないからいつまでもドジのままだし、「若気の至りでやらかす」雰囲気をいまだに漂わせている。

 そんな陣川もあと5年もすれば引退なんですよ。笑っちゃいますよね。それなのに手柄の一つも挙げられないんですから。

 現場で寺脇さんとよく話題になるのは、豊さんの超人的な運動神経について。豊さんが撮影の合間に見せる何かをよけたり、走ったり、ジャンプしたりするちょっとしたその動作です。超人的な身のこなし方で本当にすごい。見たらびっくりすると思いますよ。

 アクションシーンはほとんどありませんが、豊さんのそういう機敏な動きは「熱中時代」や「刑事貴族」の頃とそんなに変わらないんです。

 劇中、杉下右京という役の重厚さの中にも「そんなことやっちゃうの?」というエキセントリックな表現する場面があります。セリフの言い回し、声のトーン、目つき、それはベテランの俳優の重厚さとまた違う、水谷豊さんしか出せない。それが天才と非情が同居する杉下右京の狂気でもあるんですけどね。

 陣川公平に話を戻します。僕にとってあのキャラクターは役として四角四面のエリート刑事よりも何百倍もやりやすいですね。

 陣川の三枚目的なところは、原田龍二寄りなんです。ドジだったり惚れっぽいっていう部分は横に置いておいても、どこか空回りしたり、性格も実際の僕にすごく近いんです。

 例えば殺人鬼の役なんかだと、自分と対極のとこから作っていかないといけない。でも陣川は原田龍二の延長線上か、脇道に逸れれば陣川はすぐそこにいるという感じなんです。「相棒」ファンの方々に「陣川と言えば、酔いどれエンディングシーンだよ」と言われるのはうれしいことです。

 陣川はほぼ毎回、事件で関わった女性や犯罪に巻き込まれた美人に惚れてしまう。その恋は決して報われることはなく必ず撃沈します。エンディングの小料理屋で杉下さんのことをスギさんと呼んだり、亀山さんのことをカメちゃんとタメ口で呼んだり、無礼に酔いつぶれるのがお約束なんです。

 出演当初、台本にはそこまでの「悪酔い」とは書いてありませんでした。僕もしょっちゅう出る役ではないので、出た時にはしっかり爪痕を残そうと思って準備します。勝負所なので思いっきりやっちゃおうと。その結果、「酒癖が悪い陣川」が採用され、その後長いこと定着したのです。だからこそ愛着がある役なんです。

 でも、僕が出演した「相棒」シーズン24 第12話「特調係 陣川公平」(1月14日放送)のエンディングには恒例の悪酔いシーンがありませんでした。

「そう来たか!」

「陣川くん、ハッピーエンドでよかったね」

 いい意味で期待を裏切ったという意見が多かったみたいです。「陣川なのに女性にフラれない」というのは変化球でしょう。

 無事に事件を解決して豊さん、寺脇さん、特調係を立ち上げた速水了子役の山下リオさんと僕の4人で並んで歩くシーンがありました。

 あのシーン、ロケ地は府中の公園なんですけど、実は2日目の早朝に撮っているんですよね。エンディングを先に撮ったわけです。そういうことはよくあることなんですけど、

「まだ、何にも事件解決してないのにね」

 と豊さんが言ったのが、すごく印象に残ってます。山下さんとも2日目だし、お互いのことをよく知らない状況なんです。

「苦労して事件を解決してよかった」というような和やかな雰囲気を出すというのも我々俳優の見せ場なんだということをその言葉で再認識しました。

 右京さんが速水了子に向かって、

「またご一緒できる日を楽しみにしておきましょう」

 というセリフがありましたが、あれはアドリブです。右京さん、いや豊さんがそう言ってくれたので、また特調係として彼女と一緒に出演することができるのではないでしょうか。

 今回はハッピーエンドでしたが、僕としては木っ端微塵にフラれる陣川のほうが好みですね。陣川は女性にハメられればハメられるほど面白くなりますから。次回は陣川のどうしょうもなさが倍増されて、思いっきり女性にフラれて泥酔する脚本だったらいいですね。

原田龍二(はらだ・りゅうじ)1970年生まれ。東京都出身。92年ドラマ「キライじゃないぜ」で俳優デビュー。「水戸黄門」「相棒」シリーズなど出演多数。温泉バラエティ「湯一無二」(MX)のほかユーチューブ「ニンゲンTV」ではゴーストハンターとしても活躍中

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