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Posted on 2026年02月08日 18:00

原田龍二「誰がなんと言おうと霊はいる!」〈今週の龍言〉言葉はいらない。裸の付き合いが人との距離を縮める

2026年02月08日 18:00

 今週は異文化コミュニケーションについて考えてみます。最近、街で外国人の方を見かける機会が非常に増え、社会も大きく変わろうとしています。

 これからの時代、習慣や考え方の違う人たちとの付き合い方が重要になるでしょう。言葉は通じなくても何を伝えたいのか、相手の気持ちに立つことが求められるのだと思います。

 僕は海外で困った経験があります。「世界ウルルン滞在記」(毎日放送)でラオスの山奥のゲストハウスに泊まった時、扉も仕切りも何もないトイレには驚きました。漂う臭いで「ここはトイレだ」ということだけはわかるんですが、床は土で穴が掘ってあるだけ。しかも穴の横に両腕で抱えるぐらいの大きな甕が置いてあり、その中には水が入っているんです。

 穴の中に小便や大便をするのはすぐに理解できましたけど、「はて、甕の中の水は何に使うのかな?」と考えてしまいました。

 水洗トイレではないただの穴なので、排泄物を水で流す必要はありません。ましてや手洗い用の水でもない。彼らには用を足した後に手を洗う習慣がないわけですからね。もちろんトイレットペーパーなどというものはありませんでしたから、甕の水は「ケツを洗う水」あるいは「ケツを拭いた手を洗う水」だったのでしょう。とはいえ、そういった説明書きなどはどこにもありませんでしたけどね。消去法ですが、おそらくそうだったのでしょう。

 この逆を考えれば、インバウンドで日本を訪れる外国人の方が増えているわけですから、「洋式トイレはふたを開ける」「洗浄機付き便座の使い方」など、壁に図解入りの説明があると親切だと思いますね。

 言葉が通じない人と心を通わせる手っ取り早い方法はあるのでしょうか?

 25年前、僕は「ウルルン─」とは別のドキュメンタリー番組の企画で南米アマゾンの奥地、ブラジルとベネズエラの国境付近に住む伝統的な狩猟・採集民族であるヤノマミ族の集落を訪れ、彼らと1週間過ごしました。

 その経験から言うと、仲よくなる段階がありました。僕が「どういう奴なのか」というのは、彼らの感覚で見定められたと思います。大人よりも子供のほうがヨソ者に対して好奇心が旺盛で、興味を持つので無防備に近づいてくるんです。子供たちとの接し方を大人が傍観する。その時が品定めタイムなんですよね。

 僕はまずオロシ、リカルド、プレマリオンという名の3人の男の子と仲よくなりました。お菓子をあげたり、狩りに使う弓の練習をしたり。ヤノマミ族の住宅の形状が功を奏した部分もありました。彼らの家は集合住宅で、真ん中に中庭のような広場があり、広場を囲むように各家庭の居住スペースがあるんです。なので子供たちとは必然的に真ん中の広場で遊ぶ。その姿が大人たちに丸見えなんです。

 子供たちとは森の中でも遊びました。子供たちはその時の様子を大人たちに話したのでしょう。そこで純粋な心を持っていないと子供たちにもバレるし、当然それが大人たちに伝わる。ですから人と人の心の距離を縮める手っ取り早い方法なんてない。変にプライドを持っていたり、「俺は文明国の人間だ!」なんてふんぞり返っていたら彼らにすぐに見透かされてしまう。童心を持って子供と同じ目線で遊べるかどうかが問われるのだと思います。

 これは個人の特性なのかもしれません。自分なりに頑張っても仲よくなれないこともあるでしょう。

 僕は幸い短期間で彼らと深い関係を築けた。でも帰国する日、彼らは誰1人として僕を見送りに来なかったんですよ。

「リュウジと別れるのは悲しすぎる……」

 という判断だったのでしょう。たった1週間の滞在でしたが、子供たちとはハンモックで一緒に寝てました。友達のように。夜になると親が迎えに来て連れ帰されるぐらい彼らは僕に懐いてました。

 言葉は便利なはずなのに、時として足かせになることもあるのですが、言葉が通じなかったからこそ純粋な魂の触れ合いができたのかもしれません。

 ジャングルの奥地で感じたことは「貴重な時の流れ」です。地球上のどこにいようが「時間の長さ」は同じですが、普段日本にいる時と「時間の価値」はまるで違う。1秒1秒が愛おしく、重みのある時間が流れていたんです。「二度とここには戻れないんだ」と感じたら誠心誠意尽くす。それが根底にあったと思うんですよ。一期一会ですもんね。やっぱり人との関わりっていうのは大切です。

 外国人の方と仲よくなる一番の方法は、銭湯や温泉にでも行って裸の付き合いをすることだと思います。

 まず裸になって一緒の風呂に浸かる。服という鎧を脱ぎ捨てた時に人と人との距離はぐっと縮まるんです。

 それを強く感じたのがバリ島でした。バリ島の農家の人たちは水田で散々仕事して泥だらけになった体を、仕事終わりに川に入ってみんなで泥を流すんです。

 農家の人たちはそれが日常だと思うんですけど、そこにヨソ者の僕が交じった時、彼らは服を着ている時とまったく違う顔になってましたから。次の日から距離が確実に縮まっていました。

 銭湯に入ったことのない外国人の方には、「湯船に入る前にはかけ湯をする」「湯船にタオルを入れない」など、身振り手振りでもいいからマナーを教えてあげればいいんです。

 僕がテレビ番組でよく見る「撮影のためにバスタオルを着用してます」というテロップが大嫌いなことにつながってきました。

 股間に当てたタオルを取れるか取れないか。それが問題です。1回でも一緒に風呂に行っちゃえば、隠すこともないですよ。

 職場、趣味や地域の集まり、何でもいい。外国人の方がいたら「一緒に銭湯行こう」と誘ってみる。

 人種も言葉も関係ありません。裸になれば、みんなニンゲンなんですから。

原田龍二(はらだ・りゅうじ)1970年生まれ。東京都出身。92年ドラマ「キライじゃないぜ」で俳優デビュー。「水戸黄門」「相棒」シリーズなど出演多数。温泉バラエティ「湯一無二」(MX)のほかユーチューブ「ニンゲンTV」ではゴーストハンターとしても活躍中

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