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記事全文を読む→“トランプとの「停戦合意」もアテにならない”イラン「裏表使い分け国家」の真実(3)デモ参加国民を「大量殺戮」
国際社会ではこのようにイランはもともと問題国家で、欧米や中東諸国ではそうした認識が共有されている。だが、G7でも日本だけが、親日を装うイランの取り込み工作に籠絡されている。報道でよく「日本はイランと友好的関係にある」と解説されることは、むしろ日本のマヌケぶりを表しているのだ。
日本のメディアでは米国批判が突出して強調されるため、米国に攻撃されたイランを被害者として捉える論調が主流だ。トランプ政権の行動に正当性がないことはそのとおりで「イランが被害者」もそのとおりだが、被害者はイラン国民であり、イラン政権ではないことが日本の報道ではほとんど伝えられていない。
イランではもう47年にわたり、イスラム聖職者をトップとする強権的独裁政権が国民を弾圧。自由を求める国民の反政権行動が時折発生しているが、イラン政権はデモ隊を実弾で射殺して弾圧している。
欧米にはイラン人亡命者・移民が多く、多くの人権グループや反政権メディアを運営しているが、中でも慎重な情報分析で知られる在米イラン問題サイト「HRANA」(イラン人権活動家協会ニュース)によれば、この1年間で反政権派の国民8万人が逮捕。その多くは単にネットで政府批判を書いたという理由による。一般刑事犯も含むが、1年間で処刑されたのはなんと2500人にも及ぶ。
今年1月には全土で反政権デモが発生。イランでは反政府の言論ですら危険行為だが、数百万人が参加。それを政権は1月8日から9日の2日間を中心に、確認されただけでも約7000人を殺害。死亡経緯確認中のケースを含めると合計で約1万9000人を殺害した。HRANAの調査はかなり慎重で、他の亡命者グループやメディアでは死亡者は2万〜4万人といわれている。すさまじい殺戮で、HRANAの調査では他に重傷者2万6000人、逮捕者5万4000人。つまり2日間で10万人近い国民が殺傷もしくは逮捕された。イランでは政治犯として逮捕された場合、処刑も覚悟しなければならない。
今回の米・イスラエルの攻撃で、イランでは3400〜6000人が死亡した。そのうち民間人は約1700人とみられる。もちろん1700人の民間人被害は許されないが、イラン政権が殺害した7000〜4万人がもっと大規模で、残虐な悪質さもひどい。
イラン政権は国内のネットを遮断しているが、時折メディアや調査機関に漏れてくる現地からの声は、「イラン政権は打倒されるべきだが、外国の攻撃も危険なので止めてほしい」という声と「自分も空爆の巻き添えになるかもしれないが、とにかく政権を倒してほしい」に二分される。シンプルに戦争反対を叫べばイランの人々が救われるわけではないのである。
イランの政権は詐欺師であり、大量殺戮犯でもあるのだ。
黒井文太郎(くろい・ぶんたろう)/1963年福島県生まれ。大学卒業後、講談社、月刊「軍事研究」特約記者、「ワールドインテリジェンス」編集長を経て軍事ジャーナリストに。近著は「日本黒幕大全」(徳間書店)。
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