社会
Posted on 2026年05月05日 19:00

ドン・キホーテ「1万1000円自転車」に飛びつく前に考えるべきこと「完成品に見える未完成品」の使い方

2026年05月05日 19:00

 ドン・キホーテが3月下旬に売り出した「Option-0」(オプションゼロ)は、税込1万1000円の自転車だ。関東で先行販売され、店舗によっては入荷後すぐに売り切れるケースが出ているという。
 従来の自転車から削られたのは鍵、ライト、リアキャリア。前カゴとベルは残している。SNSでは「合理的だ」「いや、そのまま乗るヤツがいるから怖い」と賛否が割れ、「企業責任の放棄では」という指摘が出始めた。

 ただ、ここで一度立ち止まりたい。ロードバイクやクロスバイクの売り場に行けば、ライト別売り、鍵別売り、スタンドさえ別売りなのはむしろ普通だ。
 10万円のクロスバイクを買って、レジで「ライトと鍵もお願いします」と店員に言われ、追加で数千円払う。スポーツ自転車の世界では、それで誰も怒らない。本体と装備は別、という前提が共有されているからだ。

 ではなぜ、ドンキの1万1000円自転車だと炎上するのか。本体だけ売っているのは同じである。違うのは、買いに来ている客の事情だ。
 ロードバイク売り場の客は、最初から「本体と装備は別もの」と割り切って財布を開く。激安自転車を買いに来る客は、そうではない。駅までの足、近所のスーパー、夜のコンビニ。求めているのは、ごく普通のママチャリである。カゴが付いて、鍵が付いて、ライトが付いて、買ったその日からそのまま漕いで帰れる、そんな一台だ。

 ドンキは公式サイトで、夜間走行時には灯火義務があり、手持ちのライトまたは新たに購入したライトを必ず取り付けるよう案内している。
 発想のヒントになったのは、同社で7万5000台以上も売れたチューナーレステレビだと説明している。引き算で安さを作る、という商品コンセプト自体は筋が通っている。だが店頭で「1万1000円」の値札を見た瞬間、その注意書きは目に入らなくなりがちだ。「安いじゃないか」で財布が開く。完成品に見える未完成品、という言葉がいちばん近いだろうか。

夜には乗らないと割り切れる人なら…

 問題が現れるのは、買って帰ったその夜からだ。駅前のスーパーで惣菜と缶ビールを買って、外に出たら日が落ちている。ライトは付いていない。2026年4月から自転車の違反に青切符制度が始まり、無灯火は反則金5000円、従来の道路交通法では5万円以下の罰金が定められている。
 コンビニに5分立ち寄るだけでも、鍵がなければ落ち着かない。週末にホームセンターでまとめ買いをすれば、前カゴだけでは収まらず、後ろに括りつけたい場面で荷台がない。

 ニトリホールディングス傘下の島忠・HOME'S系で売っているオリジナルのシティサイクルは26インチ、変速なしのモデルで税込1万9800円。これでもダイナモライトと鍵は標準で付いている。常時点灯ライトと変速が加わると、税込3万580円。
 サイクルベースあさひのオリジナル「Cream City」は、ダイナモライト付きの26インチ変速なしが税込1万7000円台後半から、変速とオートライトが付けば2万円台前半に乗る。いずれも買って帰ったその夜から、夜道を走れる値段だ。
 Option-0はそこから装備を引き算して1万1000円。差額は買ったあとに、自分の財布で埋めることになる。

 少なくとも夜には乗らないと割り切れる人なら、ライトはいらない。鍵をすでに持っているなら、それも省ける。逆に夜道を走るならライト、鍵、防犯登録まで付け足して、ようやくリアルな値段になる。飛びつく前に、自分がこの自転車をどう使うかを思い浮かべてみる。1万1000円が本当に安いかどうかは、その答えが出てから断を下せばいい。

(ケン高田)

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