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記事全文を読む→鉄平 かつての首位打者がスピードを奪われた致命傷「当時の私に『早くケガを治せ』と言いたい」/プロ野球「俺が引退を決意した」瞬間
05年オフに中日からトレードで楽天に移籍後、09年にはレギュラーで132試合に出場、打率3割2分7厘で首位打者のタイトルを獲った土谷鉄平(現役時代の登録名は鉄平=43=)。かつて杜の都で人気者になった俊足巧打の外野手も、引退して10年が経った。ユニホームを脱ぐ決意をした、当時の苦悩の日々を語る。
─現役最終年となった15年は、前年よりトレード移籍していたオリックスで再起を図っていた。
鉄平 開幕は2軍スタートだったのですが、バッティング自体の調子はよかったんです。ところが、間もなくして腹斜筋を痛めてしまいました。だましだましやっていたら、シーズン終盤には左臀部とハムストリングスの間の部位、坐骨結節もケガ‥‥。機敏に動けなくなってしまいました。長距離打者のように一発が武器だったら違ったかもしれませんが、スピードを売りとしていた私にとっては致命的なケガでした。思い切って動けない葛藤や、走れない歯がゆさがあって、自分自身が置かれた状況に納得できなかった。
─オフには球団から戦力外通告を受けた。
鉄平 ケガをしたあとも無理して指名打者や代打で試合には出ていて、調子がいい頃のボールの見え方が戻ってきてはいた。2軍とはいえ、打率も4割を超えていたんです。ところが現場で来シーズンに関する話もしていた矢先、球団に呼ばれてクビを伝えられました。直前のドラフトで同じ右投げ左打ちの外野手、吉田正尚くんを獲得したのも大きかったのかな‥‥。私自身、残れると勝手に思っていた分、ケガを完治させてはいなくて、合同トライアウトにも参加できなかった。当時の私にもし声をかけられるなら「取り急ぎ、ケガを治せよ」と言いたい。
─16年1月までは自主トレを行い、他球団からのオファーを待った。それでも声がかからず引退。
鉄平 引退を真っ先に伝えたのは、自主トレで一緒に汗を流した年上の渡辺直人さん(現・楽天2軍監督)。「なんで俺より早く辞めるの‥‥」って。家族にも伝えましたが、もう腹はくくっていました。この時点でやれることはすべてやっていたから、現役への未練はまったくなかった。若手時代よりスピードが落ちたのはもちろんですが、自分の中で納得できるレベルっていうのがあるんです。最後は著しくそこを超えられなかったですからね。引退して野球のことを考えて生活しなくていいんだという解放感、安堵感が生まれた一方、技術や戦術を含めて、もっと野球全般を一歩引いて多角的に見ておけばよかったなとも今は思います。
─現役の晩年には心境の変化もあった。
鉄平 首位打者を獲得できた09年はとにかく自分のことだけで精いっぱい。一方で15年は後輩のバッティング、走塁、守備に目が向くようになって、よく見させてもらった。当時一緒に練習したオリックスの西野真弘、若月健矢、宗佑磨とはよく話しましたね。でも、そういうマインドになっていたというのは、もう潮時だったのかな。
─楽天時代に師事した、野村克也さんから「辞めたあとのほうが人生長い」との言葉をもらっている。
鉄平 32歳でユニホームを脱ぎましたが、まさに「いろいろやれるぞ!」と、思うように過ごしてきました。その一環で始めたのが3人編成バンド「鉄柳withTACK」。30歳から始めた趣味のギターを生かして結成し、仙台の球場前ステージでライブを披露しています。先日は3枚目のアルバムも発売できた。9月には宮城の沿岸部を自転車で65キロ走る「ツール・ド・東北2026」にも初挑戦します。他分野にも挑戦し続けるのは生活の1つの軸であり、張りになっています。そんな姿を野球時代から応援してくださった方たちにも見ていただきたいです。
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