とはいえ、渡辺氏の読売グループ内での独裁ぶりはすさまじい。91年に読売新聞社社長に就任後、社敵を追い出し20年間も権力を手放していない。その権勢を示すのが、工事が進む読売新聞東京本社ビル建設だ。
ある新聞記者が内情を語る。
「『大手町でいちばん高い建物にしろ』という渡辺氏の一声で建設が決まったそうです。コスト面で安く抑えられる再開発の計画には乗らずに、旧本社ビルがあった土地に建てたのは、隣の産経新聞社のビルが読売より高い建物だったのを、渡辺氏が許せなかったからとも言われています」
さすが、1000万部の世界最大部数を誇る新聞社である。渡辺氏の力の源泉は、この部数によるものだけではない。渡辺氏は敏腕の政治部記者だった。そこで培った政界人脈を生かし、現在でも政界に大きな影響力を保持しているのだ。
渡辺氏が画策した07年の自民・民主の「大連立構想」は一例にすぎない。冒頭で触れた文藝春秋の論文でも、野田佳彦総理(54)が総理就任日に電話をかけてきて、渡辺氏は「あんたを支持するよ」と声をかけたことを記している。それほどの大物なのだ。
当然、現在の読売新聞の紙面は「野田内閣応援団」と化している。消費増税に賛成なのはもちろんのこと、反増税派議員の批判までしている。3月20日の社説では、再び「大連立」の見出しが躍ったのだった。
「しかし、当の野田総理は増税法案の党内了承が得られないせいか、最近は早期にアメリカでのオバマ大統領との会談を熱望しており、周囲には『太平洋憲章をやりたい』と漏らしています。第二次大戦中に米英で戦後の世界構想を決めた『大西洋憲章』に引っ掛けているのでしょうが、夢のような話です」(政界関係者)
もはや、「不退転の決意」は渡辺氏のほうなのだ。前出・新聞記者もこう話す。
「渡辺氏は昨年、読売新聞の社外取締役に財務省の元事務次官を迎えた。天下りを批判する新聞社が元官僚を受け入れたことに業界は騒然としましたが、増税路線の財務省と一体となってまで渡辺氏が消費増税を成し遂げたいという意思の表れなのでしょう」
こうした渡辺氏の意向が最も紙面に反映されているのは、巨人を巡る「清武問題」だろう。
朝日新聞が巨人の裏契約金問題をスッパ抜くや、渡辺氏の行く場所には報道陣が殺到。取材自粛要請をするも、渡辺氏は朝日に機密を漏らした“犯人”を清武英利氏(61)だと言わんばかりの対応をしてきた。
単なる放言ではないのだろう。3月19日付の読売新聞朝刊では、社会面のほぼ1面全てを使い、清武氏が球界の内幕を描いた著書に怒りが集中していることを報じたのだ。
かつての飼い犬に手をかまれた「独裁者」の怒りとも読める内容だった。
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