この「破壊措置命令」発令により、事前に進められていた迎撃ミサイルの配備計画が展開された。
まず、陸上自衛隊が地上配備型の迎撃ミサイルである「PAC3」を、ミサイルが上空を通過する可能性がある前述の沖縄本島など3島と、さらに万一の事態を想定し、防衛省のある東京・市ヶ谷などの首都圏にも展開。
また、海上自衛隊が、海上配備型迎撃ミサイル「MS3」搭載のイージス艦3隻を、3島周辺と日本海に配備し、ミサイル防衛(MD)システムによる迎撃態勢を敷くことになったのだ。
「措置命令」発令後の記者会見で田中防衛相は、
「わが国領域への落下に対する万全の備えをしたい。日米韓で緊密に連携を取るよう、進めている」
と、「不測の事態」に備え万全の体制を敷いた旨を語ったものだった。
北朝鮮事情に詳しい「コリア・レポート」の辺真一編集長は、今回のミサイル打ち上げの意図をこう解説する。
「今回の発射のタイミングは、金日成生誕100周年ということもありますが、すでに5、6年前から予定されていた。背景には、北朝鮮が自国民に対し、今年に『強盛大国の大門を開く』と約束していて、そのための号砲を今回のミサイルと同時に鳴らそうというのでしょう。そして打ち上げ成功という成果をひっ提げ、金正恩氏が労働党総書記に就任し、父・金正日からの継承がうまくいったという舞台作りをしたい意図が見えますね。
そして今回の発射で、将来的に核弾頭が装着可能なミサイル開発に成功することになれば、米国が手出しできなくなるのみでなく、第三国への兵器輸出による外貨獲得にもつながります。決定的なのは、非常に強力な外交カードを手にできるということです」
ちなみに、北朝鮮は「スカッド」「ノドン」「ムスダン」「テポドン」など各種の弾道ミサイルを所有していることが、確認されている。
射程が約1300キロの「ノドン」ではほぼ日本全体が射程内に。「テポドン」に至っては射程は約6000キロにも及び、アラスカなど北米大陸の一部に到達するとも言われている。
また、新型中距離弾道ミサイルの「ムスダン」でも2500キロ~4000キロの射程があり、日本はおろかグアムまで射程に入る計算なのである。
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