海水魚以上に深刻なのが淡水魚である。水産庁の検査結果データを見ても、それは歴然だ。ヤマメ、イワナ、ワカサギなどの淡水魚のほうが、放射性セシウムの値がケタ違いに高い。
3月28日には、福島県飯舘村で採取されたヤマメから1キロ当たり1万8700ベクレルのセシウムが検出された。また、「新基準値」施行にあわせて、群馬県では8カ所の川や沼でのイワナ、ヤマメの釣りを禁止にした。それにしても、なぜ淡水魚ばかりがセシウムを含んでいるのか。
前出・児玉氏が答える。
「海に住む魚は塩分を外に排出し、周囲の海水が体液に入らないようにしていますが、淡水魚は逆に塩分を蓄えて、水分を排出する仕組みがあります。そのため、川魚の体内には塩の成分と似ている放射性セシウムも体内に残ってしまうのです」
これから暑くなるにつれ待ち遠しくなるのはアユの塩焼き。あの香ばしい味覚は季節を感じさせる。居酒屋でパクリと口にするのはたまらない。湖以外に住むアユは海から川へと遡上する魚だが、安心はできない。
「アユのように遡上する魚は、海にいる時は塩分を排出し、川に入ると機能を逆転させます。さらに、アユは川底のコケを食べますが、コケに付着した泥と一緒にセシウムを取り込めば、他の川魚と同じことが起こります」(前出・児玉氏)
加えて、川魚は濁流に流されないように川の底の石や泥を食べておもりの代わりにする性質がある。海底土と同様に川底の汚染状況はかなり深刻だ。日本海に流れ込む河川からもセシウムが検出されている。
セシウムはガンや白血病だけでなく、細胞のミトコンドリアを直撃するという研究結果もある。そのため、心臓病や脳血管病を引き起こす可能性も指摘されている。アユは当分、お預けになるかもしれない。
大地から取れる野菜・米などの汚染状況が1年たって明らかになり、徐々に少なくなっている傾向がある。ところが「魚」に関しては、今後も予断を許さない状況が続くと、児玉氏は語る。
「魚の場合、問題になるのは放射性ストロンチウムです。たびたび原発から海に漏れ出たと報じられるストロンチウムは体内に入ると骨にたまります。しかし、どんな手段を使っても測るのに3週間はかかります。これでは魚の鮮度が保てません。そこで、『ストロンチウムは体内のセシウムの10分の1』という“前提”を使ってセシウムの量からストロンチウムを測るのですが、この“前提”そのものが、かなり以前に外国で発表されたものです。水産学者たちの間では『一刻も早く、現在のセシウムとストロンチウムの比率を測るべきだ』と言っています」
命も惜しいが、おいしい魚も食べたい。オヤジのワガママかもしれないが、国や自治体には万全の検査体制を敷いてもらいたい。
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