だが現在の吉本には、来年度に向けて一筋の光明もある。年間40億円近い支払いに充てている償却額も、12年度で支払いは完了する予定で、13年度には黒字化も十分、達成可能だとの見方もある。
しかしその一方で、不採算事業からの撤退と新規事業の参入については、依然として不透明な部分が多いのも事実だ。
吉本は100周年を迎えるにあたって、特別公演を47都道府県と海外の100の会場で生中継したり、沖縄での「エンターテインメント・ビレッジ構想」など、地方自治体を巻き込んだイベント行事を企画しているが、地元ではあまり芳しい評判が聞こえてこない。
沖縄では3年前から行っている「沖縄国際映画祭」が、
「今年は地元企業への根回しが足らず、地元企業から総スカンを食らったと聞いています」(芸能記者)
昨年11月には、東京の「品川よしもとプリンスシアター」と大阪の「京橋花月」を相次いで閉鎖。
「テレビ業界自体が頭打ちですから、近年の吉本は劇場やイベントへ投資を行ってきましたが、いかんせん芸人が育っていない。劇場が振るわないのも本拠地である『なんばグランド花月』に行けばわかりますよ。80年代の漫才ブームに活躍したベテランがまだ舞台に立っていて、それ以外の若手はすぐに東京進出ですから、超新人か大ベテランしかいない。真ん中の層がいないんです」(制作会社関係者)
これら危機的な状況に対し、吉本関係者はこう反論する。
「ギャラの遅配は手違いや勘違いによるもの。例えば、ギャラの交渉段階にあるものは、会社に入金があっても、交渉が正式に成立するまでタレントには渡らない。そこらあたりの勘違いがあるのではないか。仮にあったとしても、数百万円、数十万円のものでしょう。そんな金額で会社の危機を言うのはどうか。劇場の閉鎖は時代に即した形での赤字対策でもあるし、イベントや映画祭も将来的投資の一環」
だが、芸能評論家の肥留間正明氏によれば、今回の経営危機は、吉本みずからが招いたものだという。「明石家さんまや紳助あたりを足がかりにして東京進出に成功し、以来約20年、その下の世代が育っていない。ナイナイやダウンタウンにしても40~50歳近くでしょう。テレビ番組を見れば吉本が“席巻”してる印象は受けるが、いかんせん小粒ばかり。その間やってきたことといえば、ギャラがせいぜい2万~3万円の安い若手を十把一からげにして大量に押し込んだ、つまり便利屋ですね。したがって、テレビ業界と併せ、先細りしていくのがせいぜいですね」
年頭1月4日の「吉本興業創業100周年プロジェクト発表会見」の場で、昨年8月に引退した島田紳助への“早すぎる”復帰歓迎発言で“非常識”と批判を浴びた大崎社長。発言の意図は、やはりこういった苦しい台所事情を背景にした、わらをもすがりたい願望なのかもしれない。
-
-
人気記事
- 1
- 【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
- 2
- 神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
- 3
- 巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
- 4
- 永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
- 5
- 「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身
- 6
- 前世の記憶を持つ少年「僕は神風特攻隊員だった」検証番組に抱いた違和感
- 7
- 前田日明「しくじり先生」で語らなかった「最大のしくじり」南アフリカ先住民事件
- 8
- ドジャース・佐々木朗希を復調させた「日本式高機能トイレ」のストレスフリー生活
- 9
- こりゃヤバイ!自民党政治家は連休中に海外へ…そして起きている「凄まじい現象」
- 10
- 開幕4番も…楽天・辰己涼介「不振で2軍落ち」実は「とんでもない怠慢プレー」があった
-
急上昇!話題の記事(アサジョ)
-
働く男のトレンド情報(アサ芸Biz)
-
-
最新号 / アサヒ芸能関連リンク
-
-
厳選!おもしろネタ(アサジョ)
-
最新記事
-
アーカイブ
-
美食と酒の悦楽探究(食楽web)