社会
Posted on 2012年07月03日 10:56

東電OL殺人事件 真犯人はコイツだ(1)

2012年07月03日 10:56

「東電OL殺人事件」の再審開始が決定した。犯人として無期懲役刑で服役していたゴビンダ元被告は無事にネパールに帰国を果たした。そして、事件は再び謎に包まれた。彼女を殺したのは、いったい誰なのか。その「真犯人」に迫ったジャーナリストがいた。事件の迷宮に挑んだ男の記録を以下─。

青白い刃先が目の前に迫る

 私の対面の椅子に座った男は、刃渡り30センチ以上もある細長く鋭い包丁をおもむろに取り出した。

 そして、刃先を私の顔に向けた。青白い刃先が近づき、目の前に迫って来る。恐怖心に押しつぶされそうになりながらも、私は男の目を見つめた。

「切れそうだな」

 そう言うと、男はニヤリと唇を歪めた。包丁をカウンターの向こうの板前に返した後も、私の緊張は解けなかった。

 刈り込まれた短髪、浅黒い肌、射抜くような眼光。

 この男こそ、「東電OL殺人事件」の調査で浮上した“疑惑の隣人”である。

 ちょうど調査開始から3カ月が過ぎていた。被害者であるAさんが遺体となって発見された円山町で、事件当時の怪しげな行動をした近隣住人たちをしらみ潰しに調べていた最中だった。

 毎日20キロ以上の距離を歩き、夜は近隣の飲食店で聞き込みをする。そんな生活をしていた私は当時、円山町界隈では、「事件を調べているヘンな男」と評判になっていた。

 初対面の私に包丁を突きつけた隣人の耳にも私の評判は届いていたのだろう。そもそも、居酒屋「T」(現在は閉店)で、隣で飲んでいた女が私を怪しんでいた。この女が、包丁を突きつけてきた男を店に呼んだのだから、初対面の私に脅しをかけてやろうと思っていたに違いない。

 この男のことは、ひょんなことから知ることになった。包丁を出した1カ月ほど前のことだった。

 昼間の円山町にいた私は一服しようと、通称「ねこ広場」という空き地(現在はビルが建っている)に足を向けた。そこに、猫にエサを与える老人男性(故人)がいた。私を何度か見かけていたようで、

「あんた、何をしているんだ?」

 と向こうから声をかけてきたのだった。私は事情を説明すると、老人は穏やかな表情を一変して、こう話したのだ。

「今でも警察に手紙を書いて、この事実を知らせるべきだったと思っていたんだよ。事件当時、巣鴨で(被害者の)定期券入れが発見されたという話を聞いたとき、私はピンと来たんです。アイツの仕業じゃないかって‥‥」

 この老人によれば、男は事件直後に円山町から姿を消したという。被害者とも接点があり、ゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告(45)の刑が確定した時期に舞い戻り、円山町に住む老女に寄生していた。暴力をふるい、金を巻き上げているというのだ。

 そして、私が何より注目したのは、その男が巣鴨に土地鑑があったということだ。ゴビンダ元被告が無罪となった一審判決で裁判官は「定期券入れの投棄が解明されておらず、犯人が投棄した可能性がある」と示唆していた。ゴビンダ元被告は巣鴨に土地鑑はない。

 こうして、私はこの“疑惑の隣人”を追跡することになったのだ。

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