芸能

天才テリー伊藤対談「大橋美加」(1)口数の少ない父の姿が痛々しかった

●ゲスト:大橋美加(おおはし・みか) 1959年、東京都生まれ。大橋巨泉とジャズシンガーのマーサ三宅の長女として誕生。短大在学中に東大ジャズ研にスカウトされ、ジャズシンガーとしてデビュー。86年にファースト・アルバム「ロマンシング」をリリース、日本ジャズヴォーカル賞新人賞受賞。以降、NY録音2枚を含むリーダー作13枚を発表。テレビ・ラジオ・コンサート活動のほか、シネマ・エッセイストとして3冊の著作を発表している。89年に結婚し、現在は1女1男の母。2005年よりFM東京の衛星デジタル放送「ミュージックバード」にて「美加の Nice‘N’ Easy タイム」放送中。16年、83歳の母・マーサ三宅を初めてゲストに迎え、家族への思いを込めた13枚目のアルバム「HOME」発表。JAZZ JAPAN誌 AWARD2016 特別賞受賞。6月23日、著書「父・巨泉」(双葉社)が発売。

 昨年逝去した大橋巨泉の娘で、自身も実力派のジャズシンガー。シネマ・エッセイストとしても多彩な才能を発揮している大橋美加。父と同じ屋根の下で暮らした時間は短かったが、その絆は固く結ばれ、忘れられない思い出や素顔、今伝えたい思いを天才テリーに打ち明けた!

テリー お父様の大橋巨泉さんがお亡くなりになって、もう1年たちますね。僕もずいぶんお世話になりましたし、以前、この連載にもご出演いただいたことがありまして。本当に残念です。

大橋 はい。本当にあっという間ですね。

テリー 巨泉さんは晩年、週刊誌の連載でご自身の闘病の様子を書かれていましたけど、美加さんが最初にご病気のことを知った時はどんな気持ちでしたか?

大橋 やはりショックでしたね。そもそも父は母親を53歳で子宮ガンで亡くしているので「自分も絶対ガンになる」と意識していて、こまめに病院で検査をしていたんです。

テリー ああ、そうだったんですか。

大橋 そのおかげで、最初に胃ガンが見つかった時は早期発見で、胃を半分摘出するだけで済んだんです。それだけに79歳で次のガンが見つかった時はショックが大きかったんです。「あんなに気をつけていたのにダメだったのか」と。

テリー その時は中咽頭ガンでしたよね?

大橋 はい。それからは、手術したあと検査するとまた新しいガンが見つかって、という繰り返しの中、どんどん体が弱っていって。

テリー お見舞いもしょっちゅう行ってたんですか?

大橋 最後のほうはできるかぎり。ただ、入院していたのが千葉の病院で、都内からは少し遠かったので、週に1回行くのが精いっぱいでしたけれども。

テリー その頃は、巨泉さんとどんなお話をされたんですか。

大橋 父はいつも明るくて、周りにいる人をいつも楽しませる、サービス精神旺盛な人で、それまで私たちが会いに行って、父が1分も黙ってることなんてなかったんです。

テリー とにかく頭の回転が速くて、話もおもしろい方でしたからね。

大橋 なのに、最後のほうはすっかり口数が少なくなって、あまり話ができませんでした。すっかり痩せて弱ってしまって‥‥それほど元気がないんだと思うと、もうそれだけでいたたまれなくて、何を話しかけていいかわからなくて。

テリー それは戸惑いますね。じゃあ、最後に美加さんの思いを伝えることもあまりできなかった?

大橋 そうですね。ただ、私は子供の頃、父と一緒に暮らしていませんでしたから、その罪滅ぼしであるかのように最後まで私の子供たちをかわいがってくれたのがうれしかったです。彼らにとって父は、人生の指針みたいな存在になりました。何を聞いても答えてくれるし、いつもおもしろい話を聞かせてくれて、笑わせてくれて。その思い出は、何よりも大切な私の宝になりました。

テリー そうか、じゃあ、よい時間を過ごされていたんですね。

大橋 でも、子供たちもこれからやっと一人前になろうという時でしたから、まだまだ生きて、その成長をずっと見ていてほしかったです。

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