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70年代のトップアイドルは平均睡眠3時間が相場だったが、ピンクに至っては1時間程度とされた。3カ月に1枚のシングルに振付けのレッスンも入り、毎日の歌番組にCM、雑誌の撮影、そして週末には地方コンサートが待ち受ける。
天馬は同じ事務所の後輩という形で地方コンサートにも出演させてもらった。
「空港からすぐに会場に移動。車の窓はカーテンでふさぎ、会場から一歩も出ないから太陽を浴びていないんです。時間の感覚も土地の感覚もまったくなかったと思います」
それほど過酷な日程でありながら、あんなに激しい振付けを完全にマスターしていることに何度も驚かされた。そして79年に2人はアメリカ進出を果たし、逆にそのことで人気が急降下‥‥。天馬は、同じ事務所の一員として気持ちは理解できた。
「世界に通用するスターを育てたいというのが相馬さんの夢でしたから」
飯田は、やはりレコード会社とプロダクションとの行き違いはあると思った。
「どこかですれ違ってしまうのは致し方ないこと。人気が下火になって、ピンクの路線を変えたらという声もありましたけど、僕は最後までピンクは『おもちゃ箱を引っくり返したような』と阿久さんが言ったイメージを貫きたかった」
ピンクが解散まで1年と迫った80年3月、鹿取洋子はT&Cの最後の新人としてデビューする。松田聖子や田原俊彦と同じ「黄金の80年組」と呼ばれ、もはや歌謡界の主流がピンクでないことは明白だった。
鹿取はそれでも、ピンクに憧れて事務所のオーディションを受け、甲斐よしひろが作詞作曲した4作目の「グッドナイト・ドール」では、振付けをミーに担当してもらっている。
「81年3月の後楽園球場での解散コンサートも見せてもらいました。こんなに素敵な人たちがどうして辞めちゃうんだろう‥‥と当時は思いましたね」
3分の1しか埋まらなかった寂しい客入りで、それから半年後にT&Cは倒産。後期は失速したとはいえ、当時として破格のギャラだったCM(別表参照)や、2.5%のロイヤリティが入る文房具や食品の収入も莫大なはずだが──、
「36社から300種の商品が出ていたけど、すべての会社から回収できたかどうかは、あの時代だから徹底できなかった」
語るのはT&Cの社長だった貫泰夫(ぬきやすお)である。貫は現在、ピンクとの5年間を電子書籍にまとめ、デビュー日と同じ8月25日の発売を控えている。
どこか〈つわものどもが夢のあと〉となった感もあるピンクのモンスター神話だが、決して〈夏草〉ではないと飯田は言う。
「03年の再結成ツアーでは全国の会場が超満員になって、客席で皆さんが立ち上がって踊っている。ああいう熱気を見ていたら、すごい夢を見させてもらったんだなと実感しました」
だからこそ現在もCMで使われているのだろう。
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