社会
Posted on 2023年12月09日 05:58

「蒸気機関車王国」東武鉄道が目指すSL観光列車の到達点は「会津若松乗り入れ」

2023年12月09日 05:58

 2017年8月に「SL大樹」の運行を開始し、SL列車を運行する数少ない鉄道会社の仲間入りをした東武鉄道。JR東日本が「SL銀河」の運行を取りやめたことからもわかるように、SLを所有し運行することは時代の流れに逆らうような決断だった。

 しかし運行開始から6年、東武鉄道の「SL戦略」は停滞するどころか順調に進み、今や東武鉄道は「蒸気機関車王国」になっているのである。

 SL大樹が運行を開始した時、東武鉄道が使っていた蒸気機関車は「C11 207号機」だけ。これはJR北海道が所有しているもので、東武の所有ではなく借り物だった。その後、20年には栃木県の真岡鐵道から「C11 325号機」を譲り受け、SL大樹の牽引機として運用を開始。一方で18年には北海道の個人が静態保存していた「C11 123号機」を譲り受けて修復し、22年から牽引している。

 今、東武鉄道が動態保存している蒸気機関車は3両。これはJR東日本と大井川鐵道の4両に続く多さ。まさに「蒸気機関車王国」にふさわしい布陣なのだ。

 豊富な蒸気機関車を武器に、東武鉄道は下今市駅と鬼怒川温泉駅の間を走るSL大樹に加え、20年からは東武日光駅と下今市駅の間を走る「SL大樹ふたら」の運行を開始。21年には蒸気機関車を2両つなげて運転する「重連」でSL大樹を運行した。

 SL列車に関して「攻めの戦略」を採っている東武鉄道が目指しているのは何か。鉄道ライターはこう分析する。

「東武が目指しているのは、SL列車を会津地方まで乗り入れることです。東武鬼怒川線から野岩鉄道会津鬼怒川線、会津鉄道会津線を経て、会津地方まで走らせたいんです。昨年、ディーゼル機関車が牽引する『DL大樹』を下今市駅から野岩鉄道、会津鉄道を通って会津田島駅まで運行したのは、その準備だと言われています。蒸気機関車を走らせるには沿線住民の理解が必要なので、DL大樹を走らせて地元に経済効果があることを証明し、理解を得ようとしていると考えられます」

 SL列車の会津乗り入れが実現すれば、次は重連運転、さらに3重連運転と夢は膨らむ。東武鉄道が今後どんな手を打ってくるのか、注目したい。

(海野久泰)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月22日 20:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月17日 20:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月24日 20:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/6/24発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク