では、どうすれば善玉血液になれるか。渡邊氏はこう言う。
「短期間で悪玉血液を善玉血液に変えるには、『ファスティング』という方法もあります。ファスティングとはいわゆる『断食』。チャレンジしやすいのは、食事の時間を制限する短時間ファスティングです。『16時間ファスティング』がメディアに取りあげられたことがありますが、おすすめは14時間。イメージとしては、午後6時までに夕食を摂って就寝、次の日の朝の8時に朝食を摂る」
食べ物を消化しない時間をつくることで胃や腸を休ませ、腸内環境を整えることができるというのだ。
「ファスティングには『オートファジー』効果があります。これは古くなった自分の細胞を分解し、再利用する、いわば自分の体内にあるリサイクル工場。これが稼働すると新陳代謝が活発になり、老化を遅らせるといわれています。食べない時間(16時間、もしくは14時間)を継続していけば、善玉血液をつくることができます」(渡邊氏)
ただ、血液に悪そうなメシの誘惑は断ちがたい。
「食べたいものが食べられないのも、逆にストレスになって体によくない。私自身も焼き肉やラーメン、菓子パンなどの甘いものを無性に食べたくなる時はあります。だから私は『週に1回は“毒”を食べてもいい』というルールをつくっています。“毒”とは先ほどの4つの白い粉、そして悪い脂質です。週に1回摂っても、すぐに血管が劣化するわけではありません。それ以外の日が善玉血液をつくる食事であれば、週イチの毒で悪玉血液に戻ってしまうことはない」(渡邊氏)
週イチ食えるなら、毒抜きも何とかなりそうだ。「ただし」と渡邊氏が付け加える。
「やめたほうがいいのはタバコ。ニコチンには血管を収縮する作用があります。心臓の疾患を抱えた人は心臓の手術ができなくなるなど、喫煙が命取りになりかねません。手術後に血管の収縮で麻酔の管が抜けなくなって、呼吸不全に陥る可能性もあります。私の病院では、手術前1カ月は禁煙をしていただきます。私の忠告を無視していたら? 手術は中止です」
50代以上の体は不調を抱えた中古車のようなものだという。乗り続けられるかはメンテナンス次第か。
「私たちは実は幸せを捨てながら生きています。余計なことをして不幸を招く。ここで言う『幸せ』とは『健康に生きる』ことで、『余計なこと』は『おいしいものを好きなだけ食べたり飲んだりすること』。楽しい時間が血管や血液にダメージを与えることを忘れてはなりません」
幸せのままでいたい。