社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「洗顔は水ですべき?お湯ですべき?男性は女性以上に敏感な肌の持ち主」

 今週は洗顔がテーマです。朝目覚めると、冷たい水で顔を洗い、仕事へのスイッチをONにする人も多いでしょう。冬の間はお湯を使っていた人も、春になりそろそろ水に切り替えたかもしれません。では、ここで問題です。洗顔にはお湯と水のどちらが適しているでしょうか

 人が洗顔をする理由は、目を覚ますことと、顔を清潔にすることの二つだと思います。ところが、起床後の顔の皮膚の表面は、清潔にしなければならないほど、汚くなってはいません。

 気がつくと顔がテカっている経験は誰しもあるでしょう。このテカリこそ皮脂であり、肌を守る角質層を支えるために分泌され、人間の顔に潜む常在菌から肌を守るなどの役割を果たしています。皮脂による酸性の膜は、顔に付着しそうなホコリをはじいてくれますし、外部からのアレルギー物質や紫外線などからも肌を守るなど、皮脂とはいわば自然のコーティングです。

 つまり、健全な皮膚であれば洗顔の必要がないばかりか、洗顔剤や石鹸も使わなくていいわけです。そう考えると、洗顔は人間に必要である皮脂をわざわざ落としてしまう行為に他なりません。

 とはいえ、人間には洗顔をしなければならない瞬間もあります。あまりに脂ぎると他人の目が気になりますし、洗顔で目ヤニなどの汚れを落としたいのもわかります。朝の洗顔で気合いを入れる人もいるでしょう。そう考えると、皮脂を落としすぎない「最低限の洗顔」は必要となります。

 思い出してほしいのが食器を洗う時の水温です。お湯のほうが油汚れもよりキレイになります。お湯には油を溶かす効果があるため、油=皮脂を落としすぎない洗顔と考えると、お湯やぬるま湯より水のほうが適しています。ただ冷たすぎる水は皮脂を固めてしまいますので、普通の水道水で、洗顔剤などを使わず、なるべく少ない回数で洗い流すのが正しい洗顔方法と言えます。

 また、朝と夜に二回洗顔をする方もいるかと思いますが、前夜お風呂に入った場合、朝の洗顔は必要ありません。なぜなら、睡眠中に皮脂腺から出た皮脂が膜を作っており、天然の保温成分が肌になじんでいるからです。外出をしていない分、汚れも少ないはずです。

 中高年男性の肌は、女性に比べて皮脂分泌が活発です。皮脂が多い反面、水分が女性の半分程度しかありません。また、毛穴も大きく、乾燥時期には皮膚がカサカサになり粉を吹く場合もあります。肌はこれほどデリケートであるにもかかわらず、髭剃りで毎日傷つけています。またストレスや睡眠不足などで生活習慣が乱れると、肌の新陳代謝が乱れ新しい肌が生成されにくくもなります。しかも年を重ねるほど乾燥による肌の老化や肌荒れを起こしやすくもなるのです。

 しかし、中高年の男性では、手入れをしている人はそう多くはないでしょう。女性より男性こそスキンケアをすべきなのです。乾燥肌になると水分を保とうと皮脂が必要以上に分泌され、ニキビなどができてしまうため、セラミドやヒアルロン酸、コラーゲンなど保湿力の高い化粧水によるスキンケアで適度な保湿をしてください。肌荒れを抑えるのに効果的なのがワセリンです。ワセリンは酸化に強く、人間の皮膚に害を与えません。1~2日ぐらいで自然と落ちてくれます。

 さまざまな原因により皮脂は過剰分泌されて乾燥肌を招きます。心身ともに健康であると皮脂が正常に分泌され、肌が若く保たれ洗顔も不必要になるのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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