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記事全文を読む→ビートたけしの名言集「新潮社から頂いた記念本をオークション」
「おい、これ、お前にやるよ」
楽屋に入ってきた殿は、パッと見、明らかに高級感漂う、革で装丁されたご本を2冊、ご自分のトートバッグから取り出すと、唐突にわたくしに預けてきたのです。頂いた本を手に取り、まじまじと確認すると、1冊は「アナログ」。もう1冊は「バカ論」と書いてあるではないですか。はて? これは? 本を手に持ち、少しばかり混乱していると、
「それよ、どっちも10万部を超えた記念に、新潮社から送られてきたんだよ」
と、殿はぶっきらぼうにつぶやいたのです。なんでも新潮社さんでは、10万部を超えたベストセラーには、オール革張りの装丁で作り直した本を、記念として著者に贈呈するしきたりがあるらしく、殿が去年上梓した2冊の本も、めでたく10万部を超えたため、このたびの贈呈となったのでした。
しかし、なぜにそんな、縁起の良い大変貴重な記念本を、文学的要素の皆無なわたくしに渡してきたのか? 皆目見当もつかず、ただただ、2冊の革張り本を手に持ち、殿の正面で立ちつくしていると、
「週刊新潮がよ、今回の独立で俺のこと、あーでもないこうでもないとけっこう変なこと書いたろ? だから新潮社には腹が立ってんだよ。な、だからそれ、お前にやるから、とりあえず好きにしろ」
と、殿は吐き捨てるように言い放ったのです。「殿、頂くのはうれしいのですが、本当に僕がもらっていいんですか?」と、当然の疑問をすぐさま返すと、
「いいよ。お前がオークションに出すなり、古本屋に持ってくなり、好きにしろ」
と、かなりアバンギャルドな提案を口にした殿は、瞬時に“自分で言って思いついた!”といった表情に変わると、
「そうだ! これよ、ほんとにオークションに出すか? 出品者、足立区の北野武さんっつって、どこかのオークションに本気で出すか!」
と、やや興奮気味に続けたのです。そして、
「だったら、あれだな。オークションに出してよ、それでお前が『100万円で落札希望』なんて、こっちでヤラセで値段をどんどん吊りあげちまうか」
と、さらにアナーキーな案を追加してきたのです。で、まさかの展開に、こちらが笑いながらも、やや困惑していると、
「だけど本当に俺のファンが高い値段で落札すると悪いからよ、これ、12月くらいまで、ずーっとオークションに出して引っ張って、途中から俺が着てた服とか、前にもらった、何かよくわかんねー、日本アカデミー賞の最優秀編集賞のトロフィーとか、浅草演芸大賞のトロフィーとか、じゃんじゃんおまけで付けて、最後は落札者に50万ぐらいバックしてやるか!」
と、最後にはしっかりと笑いに着地させたのでした。といったわけで、大変心苦しいところですが、革の装丁本2冊、殿のネットマガジン「お笑いKGB」内にて、ただ今、絶賛オークション中であります! はい。
ビートたけしが責任編集長を務める有料ネットマガジン「お笑いKGB」好評配信中!
http://www.owarai-kgb.jp/
◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!
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