社会
Posted on 2018年08月01日 05:55

死を招く「やってはいけない猛暑対策」(1)早期発見が困難な「夏血栓」

2018年08月01日 05:55

 去る7月18日、同月としては14年ぶりとなる気温40度超えを岐阜県で記録。全国で約2000人が熱中症で救急搬送され、20名以上の死者を出す猛暑地獄となった。我流の暑さ対策で乗り切れるほど、今年の夏は甘くない。「やってはいけない」その習慣が、死につながる重大病を引き起こしかねないのだ。

 外回りのサラリーマンやガテン系の労働者にとっては、文字どおり地獄のような暑さが続いている。

 気象庁も毎日のように「高温注意情報」を発表し、水分や塩分の補給といった熱中症対策を呼びかけている。だが、むやみに水を飲めばいいというわけではなく、「何を飲むか」が肝要。間違った猛暑対策は、ともすれば「死」のリスクを伴った重大病を引き起こしかねないからだ。池袋大谷クリニックの大谷義夫院長が解説する。

「水分補給のつもりで飲んでいる飲料の種類によっては、利尿作用のせいで排出量が摂取量を上回り、逆に体内の水分不足を招く可能性があります。カフェインを含む緑茶やコーヒーがそれにあたります」

 暑さに耐えかねて自動販売機に駆け寄り、渇きを癒やすべくペットボトル入りの緑茶を購入するムキも多かろう。緑茶には夏バテ予防に効くビタミンCや殺菌効果のあるカテキンが含まれ、夏に適した飲み物と言えるのだが、こと「水分補給」という点では逆効果になりかねないというのだ。

「同様に、アルコールも全般的に利尿作用があります。この季節、仕事終わりの楽しみにとビールをがぶがぶ飲んでしまいがちですが、水分補給どころか脱水症状にもなりかねません」(大谷院長)

 だが、本当に気をつけたいのはここからだ。水分補給がままならないことで熱中症が引き起こされることは周知の事実だが、さらに恐ろしい危機が待ち受けているという。大谷院長が続ける。

「体内の水分量が減ると、血液中の水分も減ります。それによってドロドロになった血管内に血栓ができやすくなる。これが『夏血栓』です。血栓で脳の血管が詰まれば脳梗塞を、心臓なら心筋梗塞、肺なら肺血栓塞栓症を誘発することになります」

 体調のかすかな異変から夏血栓を疑うのは困難のようで、自覚できないまま症状が悪化するケースが多い。血栓症は特に冬場に猛威を振るうとされ、そうした先入観が早期発見の妨げになっている一方で、

「倦怠感や頭痛、めまいなどの初期症状が、熱中症の初期症状とほぼ同じであるため、『自分は熱中症だ』と勘違いしがちなんです。例えば、肺血栓塞栓症を適切な処置をしないまま放置すると、数%の死亡率が30%にも跳ね上がってしまいます」(大谷院長)

 体調不良を感じたら、必ず専門医の判断を仰ぐことが大事なのだ。

 それでは、酷暑の水分補給に適している飲料とはなんだろう。管理栄養士の資格を持ち、戸板女子短期大学食物栄養科で教鞭を取る井部奈生子准教授に聞いた。

「水だけでは塩分が不足してしまいます。塩をひとつまみ足して飲むか、市販の経口補水液などもいいと思います。お茶ならば緑茶より、ノンカフェインでミネラルも含んだ麦茶がいいでしょう」

 一方、大谷院長が勧めるのは牛乳だ。

「牛乳のたんぱく質には、血液量を増やす効果があります。夏血栓の予防にも非常に効果的ですね。また、水分の摂取量としては、だいたい1時間100ミリリットルを目安にしてください。これで睡眠時間を除いて1日で1500ミリリットルから2000ミリリットルになります」

 一気に大量の水分を摂ると、尿として出る排出量が上回ってしまうため「ガブ飲み」は厳禁だという。

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