社会

秋津壽男“どっち?”の健康学「ストレス性の『頭痛』と『胃痛』どっちが危ない?運動や腹式呼吸などで気分転換し症状を緩和」

 人間は緊張状態が続いたりストレスを抱えると、さまざまな症状が出てきます。例えば、人前でしゃべる時、手のひらやワキなどから「緊張汗」が出ます。緊張汗は女性に多い症状ですが、男性の場合は下痢になる「過敏性大腸症候群」がよく見受けられます。電車やバスで便意を感じたりするやっかいな症状ですが、これも慣れると「また来たか」くらいに思うので、緊張汗と同様、心配しすぎないことが肝心です。

 こうした緊張による症状は、一度に複数箇所で出現することがなく「いちばん弱くて反応しやすい場所」に出るのが特徴です。

 では、ここで質問です。緊張性ストレス症状の中で「頭痛」と「胃痛」ではどちらを危険視すべきでしょうか。

 まず、いずれの症状も体が過剰なストレス性を感じて「リラックスしろ」というサインを発していると解釈してください。そのうえで、スポーツに励んだり趣味に興じたりすると、自然とリラックスできるようになります。ストレスの源から離れやすくすることが「上手な切り替え方」です。

 そして、ストレス性の胃痛は、症状が進むと慢性胃炎や神経性胃炎、ストレス性胃潰瘍になりますが、胃潰瘍が命に関わることはありません。ましてやストレスから胃がんになる可能性は少なく、危険因子としては小さいと言えるでしょう。

 ストレス性の頭痛は多くが片頭痛です。運動不足で肩や首の筋肉が固まって血行不良を引き起こしますが、頭全体や後頭部、首筋が何かで締めつけられるように痛むと「緊張型頭痛」となります。睡眠時の激しい頭痛により不眠症になる可能性もあり、やっかいなケースと言えます。さらには脳出血や脳梗塞など頭の病気の前兆となることもあり、ストレス性の症状の中で最も危険です。

 緊張型頭痛の解消法は運動が一番ですが、悩み事があれば人に相談したり、森林浴などで気分転換するなどして、ストレスをためないようにしてください。他にも、就寝前にぬるめのお風呂に入るのも効果的ですし、体の力を抜いて腹をへこませながら、ゆっくりとできるだけ長く息を吐き続ける腹式呼吸を試すと、自律神経のバランスが整えられて症状も緩和されていきます。いずれにせよ、ストレス性の症状を改善するには「気分転換」が一番なのです。

 ストレスが過剰になることで眠れない日々が続き、結果として不眠症になるケースもあります。人間は十分な睡眠をとらないと日常生活のパフォーマンスが低下するため、眠れない場合には、運動をして体を疲れさせたり、人と話をしたりなど、気分転換を図ってください。睡眠薬に頼るのは、こうした解消法がいずれも通用しなくなった最後の手段と心得てください。

 こうしたストレス性の症状は、年を重ねるとともに出にくくなります。なぜならストレスは経験値のない事柄で初めて感じます。生まれて初めて人前で話をするのと、何度も話してきた人とでは緊張状態に雲泥の差が出ます。50歳を超えてストレス性の症状に悩まされる場合、大病に結び付く可能性も高いので、前述したさまざまな解消法に積極的にチャレンジしてください。

 間もなく、お盆休みに入る方も多いかと思います。仕事を忘れて思い切り遊び、日々のストレスを解消して、新たな気持ちで仕事に取り組むことを心がけてください。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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