芸能
Posted on 2018年10月25日 17:57

やしきたかじんを全国区にした大ヒット作詞家・及川眠子が激白(1)「かまわへん」で歌いやすく

2018年10月25日 17:57

 聴けば誰もが口ずさめる多数のヒット曲を持ち、「最後の職業作詞家」と呼ばれる及川眠子氏。やしきたかじん、Wink、そして「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマ曲など、今も耳にする機会は多い。個性豊かなアーティストたちを、さらに個性的なクリエーターはどう作詞に結びつけたのか!

 稀代の毒舌タレントにして、関西のカリスマシンガー。やしきたかじんが食道ガンで急死したのは14年1月3日だった。

 そのたかじんと深く関わった作詞家が、及川眠子(ねこ)氏(58)。先頃出版された及川氏の著書「ネコの手も貸したい」(リットーミュージック)には、彼女が手がけたヒット曲の作詞術とともに、たかじんら、アーティストたちとのエピソードがつづられている。

 及川氏はこの「猛獣」とも呼ぶべき浪速の雄と、どう向き合ったのか。

「アルバムに何曲か提供していて、それをたかじんが気に入ってくれたみたい。最初の印象ですか? あんなパンチパーマのガラの悪いおじさんは嫌いですよ、と思いました(笑)」

 及川氏が書いた何曲かを気に入ったたかじんは、シングル曲の詞を書いてほしいと申し入れる。これに及川氏は、きっぱりと注文をつけた。

「たかじんは大阪をテーマにした、ずっと同じテーマでやっていた。だから『私はあなたのご機嫌を取るつもりはなくて、あなたを売りたいの。それが嫌ならどうぞ、降ろしてください』と。私は彼を『全国区』にしたかった」

 それまでのたかじんは「やっぱ好きやねん」や「あんた」など、大阪系の泣きのバラードが好評を博していた。それを及川氏は「2~3万枚のローカルヒット」と見なし、作曲家(川上明彦)も編曲家(川村栄二)もみずから連れてきた。

 そして、たかじんの20枚目のシングルとして発売されたのが、「東京」(93年3月25日)。タイトルもそうだが、ピアノに始まるラテンのリズムも、これまでと一線を画していた。

「タイトルが『東京』でも、歌詞はやはり大阪弁だけど(笑)。大阪の人は『かまへん』って言うけど、そこは『かまわへん』にしたの。『わ』が入ることによって、たかじんも歌いやすくなったみたい。ただ、そのあとに『かまわへんよ』って『よ』が入っていたけど、これは『歌いにくかったら取ってええか』と言ってきた」

 余談だが、たかじんはスタッフに「あの子は関西弁の使い方がうまいなぁ」と感心していたという。実は及川氏が和歌山市の出身であるということを、知らなかったらしいのだ。

 さて、「東京」はちょうどたかじんの東京進出とも重なり、60万枚を売る最大のヒット曲となる。

「男の人がタンバリンを持って歌える歌が、敏いとうとハッピー&ブルーの『星降る街角』以来だったという説もあるわね。ただ、たかじんも新しい路線にいくことには不安もあったみたいで、その3カ月後の6月25日には、バラード調の『さよならが言えるまで』を準備させられましたけど」

 たかじんの繊細な一面が見て取れるのだ。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2026年01月14日 07:30

    昨年あたりから平成レトロブームを追い風に、空前の「シール」ブームが続いている。かつては子供向け文具の定番だったシールだが、今や「大人が本気で集めるコレクターズアイテム」として存在感を放つ。1980年代から90年代を思わせる配色やモチーフ、ぷ...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月19日 07:30

    鉄道などの公共交通機関で通勤する人が、乗車の際に使っている定期券。きっぷを毎回買うよりは当然ながらお得になっているのだが、合法的にもっと安く購入する方法があるのをご存じだろうか。それが「分割定期券」だ。これはA駅からC駅の通勤区間の定期券を...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    社会
    2026年01月22日 07:30

    今年も確定申告の季節がやってきた。「面倒だけど、去年と同じやり方で済ませればいい」と考える人は少なくないだろう。しかし、令和7年分(2025年分)の確定申告は、従来の感覚では対応しきれないものになっている。昨年からの税制の見直しにより、内容...

    記事全文を読む→
    カテゴリー:
    タグ:
    注目キーワード

    人気記事

    1. 1
    2. 2
    3. 3
    4. 4
    5. 5
    6. 6
    7. 7
    8. 8
    9. 9
    10. 10
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2026/2/3発売
    ■650円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク