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Posted on 2018年11月10日 17:57

「白い巨塔」と田宮二郎〈猟銃自死〉の新事実(2)医師の説明に驚き沈んでいく

2018年11月10日 17:57

 田宮の死が大きく報じられたのは、43歳という若さもさることながら、日本のドラマ史に残る傑作「白い巨塔」(78~79年、フジテレビ系)の放映を2話も残していたからだった。

 03~04年には唐沢寿明主演でリメイクされ高視聴率を獲得したが、田宮の場合は事情が違う。ドラマの最終話も「ガンの権威が手術不能のガンにより死す」だが、結果的に財前五郎が田宮の後を追う形となった。

 田宮の自殺に「躁うつ病」が大きな比重を占めたことは没後に明らかになったが、それは「白い巨塔」のクランクインとともに顔をのぞかせるようになった。

 財前の親友でライバルでもあった里見助教授役を演じた山本學が追想する。

「お互い病院へ見学にも行っていたけど、田宮さんがある日、『ガクさんは盲腸って残っているの?』と聞く。僕が『ありますよ』と答えたら『それを僕に切らせてほしい』って真顔で言う。冗談でしょって答えたら、『いや、手術も研究したから、盲腸くらいだったら僕は切れるよ』って譲らない」

 財前が教授に昇任した後、後任の助教授となった金井達夫を演じた清水章吾も、同様の証言をする。

「財前が教授になっての総回診──俗に言う『大名行列』の場面で、ボソッと『女房が俺に毒を盛るんだよ』って言うんだ。思わず顔をのぞき込んだよ。かと思うと後半、セリフが頭に入ってこないのか、『金井君、一杯やろうか』と言うところを『‥‥誰だっけ?』『金井です』ということが何度もあった」

 こうした異変はもちろん、夫人の耳にも入ってくる。夫人は田宮を連れ、旧知の精神科医・斎藤茂太のもとを訪ねた。実は夫人だけでも何度か相談に行ってはいるが、田宮も同行を了承したのだ。その時の田宮は躁状態からうつに移行し、深刻な状態に陥っていた。夫人が回想する。

「病気の説明を受けながら、私は田宮の両腕を包み、沈んでゆく田宮の気持ちを落ち着かせようとしました。田宮は『躁うつ病』という言葉に驚いていましたが、私は『これまでのことは、あなたの人格がしたことではない。全ては躁うつという病気がしたことなの』と言い聞かせました」

 落ち着きを取り戻したかに見えた田宮だったが、翌日、ひどく憤慨している。

「一人で図書館に行き、病気のことを調べたのです。そこには『躁うつ病は完治しない。病気を繰り返し、やがて死に至る』と書いてあった、と田宮は言うんです」

 夫人は「マニュアル通りじゃないから」と否定した。それでも田宮の脳裏には、「死に至る」という言葉だけが色濃く残った。

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