事件
Posted on 2018年12月15日 17:53

カルロス・ゴーンを待ち受ける刑務所「過酷労働10年」(2)高齢受刑者のおむつ替えも

2018年12月15日 17:53

 この喜連川刑務所は、炊事や洗濯など施設の運営に関わる作業とは別に、多くの民間企業から仕事を受注、受刑者に仕事を振り分けている。受刑者A氏が解説を加える。

「受刑者には平等に刑務作業が割り当てられます。土日は休みですが、平日は1日約7時間は労働をしなければいけません。喜連川には33の工場があって、仕事内容もバラバラ。資格が取れそうなやりがいのある仕事もあれば、退屈極まりない単純作業もあります」

 一方、元受刑者のB氏が作っていたのは、トイレなどに置く消臭剤だった。その作業内容を聞くと、

「『消臭元』は、ろ紙が容器の中の液体を吸い上げる仕組みになっていて、自分はこのパーツにろ紙を巻く作業をしていました。初心者は1日頑張ってせいぜい300個がやっと。熟練者になると1400個くらい作れるようになるんです」

 この工場は空調が効いていたので過ごしやすかったそうだが、厳しい監視の前では、一瞬たりともサボることは許されなかった。

「作業中は顔を上に向ける、横を見る、しゃべる、人を目で追うなど全てNG。担当官に見つかったら、懲罰の対象となります。ひたすら下を向いて作業するので首がメチャクチャ痛くなります。ゴーンにだって容赦ないはずですよ。作業工場の中では担当者が王様だから、従うしかないんです」(B氏)

 一方、井川氏が配属されたのは図書工場だった。受刑者に差し入れされた書籍の中身をめくって、手紙や金属類が入っていないか、検閲や管理を行うのが主な作業である。

「図書係は刑務所の中ではホワイトカラー。肉体労働もないのですが、食事の量もちょっと多いんです。行きたくなかった配属先は、お年寄りを相手にしたりする衛生係ですね。でもちなみに、衛生係はみんなやりたがるんです。おむつを替えたり下の世話をするなど、仕事がきつい分、仮釈放が早いっていう噂があった。慣れたらクソもつかめるっていうけど、潔癖性の私には無理。便器の上に裸で仁王立ちになって飯を食っている受刑者もいて、とても相手にできない(笑)」

 少なくとも日本語がたどたどしいゴーン容疑者が、図書係に配属されることはなさそうだ。元受刑者のC氏が有力な配属先として挙げるのが、「カットわかめ」と「イカソーメン」の製造工場だ。

「長さ1メートルくらいの乾燥ワカメを手で細かくちぎって、誰もが知るアノ製品の状態にするのですが、コレがめちゃくちゃ寒い。真冬でも暖房なしで、震えながらワカメを粉々にカットしていました。イカソーメンのカットをする仕事は、切る幅は何ミリと細かく決められ、かなりのスキルが求められます。長時間、立った状態で全神経を手元に集中しなければならず、腰を痛める受刑者が続出。冬でも冷房をガンガンにかけているので、もう少しで凍傷になるところでした。ゴーンは日産で『コストカッター』と恐れられていたので、カット作業は得意だと思うんですよね」

 15年にはスローガンに「技術の日産」を打ち出しただけに、お手並み拝見だ。

カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/8/5発売
    ■680円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク