スポーツ
Posted on 2019年04月03日 05:58

伝説の「平成・春のセンバツ対決」1日に2度目の延長15回引き分け再試合!

2019年04月03日 05:58

 2017年に開催された第89回春の選抜。大会7日目に前代未聞の珍事が起きた。

 この日は2回戦3試合が行われたのだが、その2試合目の福岡大大濠対滋賀学園の一戦が緊迫した投手戦となり、結局1‐1の同点のまま、延長15回引き分け再試合に。その熱戦の余韻が残る中、第3試合の健大高崎(群馬)対福井工大福井の戦いが幕を開けたのだが、この試合も予想を遥かに超える大熱戦となったのだ。

 小雨の中、試合開始。最初にチャンスをつかんだのは健大高崎だった。3回裏1死後から8番・投手の伊藤敦紀が左前安打で出塁したのをきっかけに2死一、二塁とすると2番・小野寺大輝が右中間へ2点適時三塁打。さらに3番・安里樹羅のセーフティスクイズ、4番・山下航汰の右前適時打と続き、一挙に4点を先制したのだ。

 対する福井工大福井は5回表に反撃。2死後から途中出場の2番・佐藤が中前安打を放ち出塁。さらに3番・井上開都と4番・山岸旭が連続四球を選び満塁とすると、5番・島谷元貴がライトの頭上を越す走者一掃の3点適時三塁打を放ち、3‐4とたちまち1点差に詰め寄る。直後に健大高崎に1点を追加されたが、福井工大福井は6回表にも打線がつながりを見せる。2死無走者から、まずは9番・投手の播石達哉が右翼線二塁打を放つと、1番・北川智也と2番・佐藤が連続四球で満塁のチャンスを作る。ここで打席に入った3番・井上の打球は深く守っていたセンターの前に。これがポトリと落ちる3点適時二塁打となり、ついに6‐5と逆転したのである。

 しかし、両軍の打線が活発なだけに試合はここからさらに二転三転。7回裏に健大高崎がふたたび同点に追いつくと、そのまま6‐6の同点で試合は最終回の攻防へ。9回表、福井工大福井は先頭の2番・佐藤が右前打で出塁すると、1死後からこの試合ここまでノーヒットだった4番・山岸が左中間へ殊勲の適時三塁打。7‐6と勝ち越しに成功する。だが、試合は終わらない。その裏、健大高崎は先頭の2番・小野寺がエラーで出塁したのをきっかけに2死ながら二、三塁とすると6番の代打・安藤論の打席だった。二塁走者の安里のリードが大きいと踏んだ福井工大のエース・播石は二塁へけん制。しかしその身体が時計回りに動いた瞬間、三塁走者の小野寺がホームへ突っ込んだのである。二塁へのけん制球を受けた福井工大福井の遊撃手・西村吏久人はすぐに本塁へ送球したが、余裕のセーフ。雨中の死闘の中、土壇場での意表をついたホームスチールが、起死回生の同点劇を生んだのであった。こうして試合は2試合続けての延長戦へと突入。そして、結果的にこの試合も延長15回の死闘の末、引き分け再試合となるのである。9回までの打撃戦から一転、延長戦では両軍投手陣が相手打線を無失点に封じる投手戦を展開し、最終的なスコアは7‐7のままだった。春夏の甲子園の歴史において、1日の試合で2度、しかも2試合連続の延長戦引き分け再試合となったのは初めて。今後もないであろうレアケースとなったのである。

 両校による再試合は2日後に行われたが、力尽きたのは福井工大福井のほうだった。健大高崎は1回裏に5安打を集めていきなり4点を先制。4回裏にも4番・山下に満塁本塁打が飛び出すなど、一挙に6得点。福井工大福井の反撃を最終回の2点に抑えて10‐2で逃げ切ったのだった。

 この大会での1日2試合続けての延長15回引き分け再試合をきっかけに、高野連は現在行われているタイブレーク制の導入へと舵を切ることになる。

(高校野球評論家・上杉純也)=文中敬称略=

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