芸能

天才テリー伊藤対談「PANTA」(2)頭脳警察は言葉や音が古びないんだ

テリー さっきも言いましたけど、頭脳警察の存在って、本当に当時、衝撃的だったんですよ。学生運動の時に顔に石が当たったんですが、その瞬間、今まで自分が信じていた、爽やかだと思ってたものとはまったく違う世界があるんだ、と一瞬にしてシフトチェンジしたんですね。頭脳警察はその空気感をみごとに取り込んでいて「やられた!」っていう感覚がありました。

PANTA とにかく「欧米のロックに一矢報いたい」っていう気持ちがあってね。当時、日本のバンドがそのままアメリカに上陸しても、子供じみた歌詞などで99%は蹴飛ばされるだろうなと思ったし、だったら自分たちは自分の言葉でしかやれないことをやる、ということを決めていましたから。

テリー 強烈でしたよ。特に初期はアジ演説なのか、それとも歌なのか、みたいな感じだったし。

PANTA 歌詞もいろいろ言われましたし、「頭脳警察」というバンド名がいけないとも言われて。結局、ライブレコーディングしたファーストアルバムは、プレス前に発売禁止になっちゃったんですよ。

テリー 有名なエピソードですね。最初からダメ出しなんてキツいなァ。

PANTA でも、しょうがなかったんですよ。そのタイミングで、ブラウン管の中では浅間山荘に鉄球が飛んでいるんですから。そこから慌ててスタジオ録音に切り替えて、危ない曲を外してセカンドアルバムを作ったんですが、今度はテルアビブ空港乱射事件が起こって、また発売1カ月で販売中止勧告が出まして。

テリー そうそう、レコードの扱いに関しては当時、不遇でしたね。

PANTA その時、朝日新聞が大特集を組んでくれて、いろんな人のコメントが出たんですが、寺山修司さんの「音楽の中の事件は音楽の中の警察が取り締まればいい」っていうコメントは、実に「らしい」というか、うれしかったです。

テリー カッコいいね。

PANTA うん、さすがですよね。

テリー 頭脳警察って、今聴いても音がまったく古くない。ましてや、言葉も古くならないんですよね。

PANTA その当時の言葉が今に通じちゃう、リアルなメッセージになってしまうのは、ちょっと悲しいような気もするけどね。

テリー それはそれで、すごいことだと思いますよ。しかも、今年は結成50周年ということで、ライブイベントもめじろ押しらしいじゃないですか。今回、新しいメンバーが3人入って雰囲気も変わりましたか。

PANTA 今回は90年の再結成の頃に生まれた世代をあえて入れてみたんです。

テリー つまり、昔の頭脳警察を知らない世代ということですよね。新しいライブ音源を聴かせてもらいましたけれども、同じ曲でもやっぱり感触が変わってくるのが不思議ですね。

PANTA こっちから強権的に「ああしろ、こうしろ」と言わず、彼らの感性でやってもらおうと思ってね。40年の時の隔たりがあるんですが、これはこれでおもしろいかな、と。

テリー 頭脳警察というのは戦いの音楽で、PANTAさんは常に風の中に立ち続けている。その気持ちを50年キープする秘訣って何なんですか。

PANTA ZAZ(ザーズ)というフランスの歌手が、ステージでこんな話をしているんです。山火事の中、ハチドリが池の水を火災現場に少しずつ落としていく。森の動物たちは「そんな意味のないことをして」と笑うんですが、ハチドリは「私は私のできることをしているだけ」と答えるんです。俺も自分自身、それでいいんだと思ってやっています。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
タモリが「後継指名」する大物アイドル(1)「ブラタモリ」終了のワケ
2
水谷隼がバラした「卓球界ははいてない人ばっかり」で平野美宇や石川佳純は…という素朴な疑問【アサ芸プラス2024年2月BEST】
3
タモリが「後継指名」する大物アイドル(2)終活を決意させた夫人以外のキーマン
4
掃除機をかけたら家中に大繁殖!この春に知っておきたい「トコジラミ対策」
5
とんねるず・石橋貴明が大谷翔平のドジャース・キャンプを訪問したらスター選手が興奮熱狂!その理由は…【アサ芸プラス2024年2月BEST】