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記事全文を読む→ザ・ベストテン「視聴率40%の伝説」(3)銭湯が出発点の歌唱ロード
六本木のスナックで歌っていたところをスカウトされ、明石家さんまと大竹しのぶの共演で話題となった「男女7人夏物語」(TBS)の主題歌でデビュー。石井はまさしく、時代のシンデレラとなった。
「でも、スカウトしてくれた事務所の会長には、売れなかったら1曲で引退すると約束させたんです。じゃないと、カッコ悪いから」
売れないどころか「ベストテン」でも3週にわたっての1位を記録した。事務所の先輩である中森明菜と1位と2位を飾り、六本木で食事をご馳走になったこともあった。
そもそも初めてテレビで歌ったのも、注目曲を紹介する「今週のスポットライト」のコーナーだった。ミラーゲートと呼ばれる回転扉を開き、黒柳らと何を話したのか憶えていないほど緊張していた。
やがて本ランクにも入るようになり、ドラマチックな曲調を盛り上げる演出にも目がいく余裕ができた。
「長めのお立ち台が私の後ろにあって、そこで何組かの男女が社交ダンスを踊っていらしたのが強烈な印象で残っています」
それから約半年後、ドラマの「スケバン刑事III」で人気を得た大西結花は、初めて「シャドウ・ハンター」(87年2月)でスポットライトのコーナーに出た。
「松田聖子さんに憧れて、毎週欠かさず観ていた番組についに出られたんです。その日に着たフリフリの衣装の色まで、今でもはっきり思い出せます」
いざ出演する側になると、ミラーゲートの意外な軽さとか、ランキングボードと垂直の位置で歌うのかと発見があった。出番を終えてソファーでくつろぐ先輩歌手たちが、すべて自分に視線が向くことで緊張してしまったという。
残念ながら初出場はスポットライトだけで終わったが、浅香唯、中村由真とのユニット「風間三姉妹」で歌った「Remember」(87年10月)は堂々のベストテン入りとなった。ただ、ドラマの「スケバン刑事III」の撮影が佳境だったため、スタジオではなく、ロケの合間に中継の形で歌うことが多かった。
「勝どき(中央区)からの中継があったんです。下町の雰囲気を伝えようというコンセプトだったので、3人がそれぞれ別の地点からスタートし、最後のサビのあたりで合流するという流れでした」
浅香は商店街から、中村はもんじゃ焼き屋から出発したが、大西にはまさかの場所が用意されていた。地元の銭湯の、しかも男湯の脱衣所だったという。
「生中継なのに、18歳のうら若き娘をすごい場所に立たせましたよね。もし、変な人がいたら放送事故だったかもしれません(笑)。それよりも当日は、目線は前に向けたまま歌いながら歩くんですが、番台のところの段差で思わず転びそうになって焦りましたね」
実はレコーディングも3人がバラバラにこなし、そろって歌うのは、こうした歌番組くらいだった。
憧れの「ベストテン」はランキング番組である。本来は歌手たちのライバル心が拮抗する場でありながら、それ以上にアットホームな感覚のほうが心地よく感じられたという。
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