そのダルビッシュを防御率で上回るのが今季の田中である。
「余分なことを考えず、ベースの上に投げておけば、簡単には打たれない」
と佐藤コーチ。女房役の嶋基宏も「田中には気持ちよく投げてもらえればいい」と絶大な信頼を置く。田中の今年の急成長について、佐藤コーチは当たり前のように言う。
「別に不思議でも何でもない。昨年、キャンプで故障してできなかったことが、今年はきっちりとできたからね」
走り込みによる下半身作りによって、フォームに粘りが出てきた。粘りが出て球威が増したことによって、三振がいつでも取れるようになった。新しい球を習得したことも大きな収穫だった。
指の短い田中にとって、フォークより縫い目が指にかかりやすいスプリット・フィンガード・ファストボール(SFF)をマスターすることで、内角を上手に攻められるようになったのだ。得意のスライダーを生かすための武器にもなる。
田中自身もこの新球の効果を認めている。5月20日のヤクルト戦(Kスタ宮城)で、15奪三振を上げたあとなどは「自分で狙って取ることができた」と自信満々に語ったものだ。
この試合は仙台出身のヤクルト・由規が満を持してマウンドに登った凱旋登板試合。お互いに負けられない試合だったが、田中は「相手がムキになって挑んできたから」と涼しい顔で受け流し、2─1というしびれる投手戦を制している。
「田中の場合、ギアが一つ入ると別次元のピッチングになる」
と、嶋に激賞されたのが8月20日と27日のソフトバンク戦だ。両試合ともエース杉内相手に、20日は2ー1で振り切り、27日は自己最多タイとなる18奪三振で完封してみせた。星野仙一監督も言う。
「田中は強い相手と当たるほど、相手がライバル意識を.き出しにしてくるほど、燃えるタイプの男だ」
ここで、今季の田中の成績をダルビッシュと比較してみよう(9月21日時点)。防御率は1.41でダルビッシュの1.45を上回る。16勝のダルビッシュに対して田中は15勝。完投は田中が11でダルビッシュが9だが、奪三振率はダル10.63に対して田中は9.69。ほぼ互角の内容と言っていい。
では、何が田中をここまでレベルアップさせたのか。春の久米島キャンプで田中はこう宣言した。
「今年はリーグ優勝、日本一はもちろん、開幕投手と沢村賞を狙います」
この言葉には、4年連続開幕投手の岩隈からその座を奪うこと。そして、ダルビッシュが日本にいるうちに勝ちたいという強い気持ちが込められている。それが今の田中のモチベーションになっているのだ。
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