田中が沢村賞にこだわるのにはわけがある。2年前になる。オールスターの試合後、ダルビッシュと西武・涌井秀章とともに、田中は食事に出かけた。この年のオフに涌井は沢村賞を受賞しているが、この会食の席でも〝沢村賞を獲ってこそ一人前〟といった話題になったという。広島の前田健太がダルビッシュらと親しく会話するようになったのも、沢村賞受賞者の仲間入りをしたからだと田中は見たに違いない。
それだけに、今年は何としても自分が獲る番だと思っているし、それも兄貴分・ダルビッシュが日本球界にいるうちに受賞したい、という思いが気合いに拍車をかけているのである。
その沢村賞の条件は登板数が25試合以上で、完投数10個以上、勝利数15以上、奪三振150以上、投球回数200イニング以上で勝率は6割以上。そのうえで防御率は2.50以下という7項目をクリアすることが基準になっている。現在までのところ、残りのシーズンを全欠場でもしないかぎり、2人ともクリアできる数字だ。
田中にとってこの条件は「エースの資格」だが、対してダルビッシュは「5億円もらっている投手として当然の義務」と事もなげに言ってのける。そして「当たり前のように達成してしまうところがダルの凄さ」と、佐藤コーチは言うのだ。
ところで、ダルビッシュは、みずからの口からメジャーに行きたいという言葉は発していない。だが、佐藤コーチの目には、最近のトレーニング方法から見ても間違いなくメジャー行きの日が近いと映っている。田中もそれがわかっているだけに、今季中にどうしても乗り越えたいのだ。
佐藤コーチが2人の教え子を比較して言う。
「ダルビッシュがプロ入り2年目、俺が日ハムの一軍コーチに上がった年、彼は自分から進んで走り込むようになって、太腿が5センチぐらい大きくなった。その年のプレーオフに初めて150キロのストレートを投げている。今の田中にもそれと同じようなものを感じる。確実に太腿が太くなっているし、力強い球が来ている。ベースの上で勝負できる投手になったよ」
田中が追いかけると、ダルビッシュは、さらに一歩先を目指して体作りを始めた。競争はとどまるところを知らない。
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