芸能

ビートたけしの名言集「ウナギ、カツライス、寿司を断念して…」

 前回の続きです。17年程前、当時の殿はほぼ毎日、仕事終わりに若手の弟子たち(だいたい6~7名で)と一緒に、毎晩ドカドカと、稽古場でタップに精を出していました。そんなある日、台風の影響で仕事がキャンセルになった殿と、昼から夜まで稽古場にて2人っきりで過ごすことになったのでした。午後1時、わたくしが稽古場へ入ると、殿はすでに来ていて、1人で熱心にカタカタと始めていました。で、ほぼ会話のないまま、黙々と2人してタップを踏む時間が流れました。

 午後3時あたり、「おい、今日、飯どうするか?」と殿から。ちなみに、当時のタップの稽古の流れは、夕方からタップを2時間。その後は夏でも冬でも鍋をつつき、お酒を飲みながら、みんなで食事をするのが定番となっていました。

 それがたまに、「なんか飲み足りねーな。よし、タップもまじめにやったし、外に飲み行くか!」といった殿の鶴の一声で、そのまま朝までの大宴会に流れ込むことも──。

 で、この日はさすがに稽古に来ているのがわたくし1人だったため、2人で鍋をつつくという行為に疑問を感じた殿が「飯どうする?」発言を投げかけてきたのです。が、これといって“いい飯案”が出なかったため、殿はすぐさま「まー、飯は後で考えるか」とつぶやき、また稽古に戻っていったのです。午後4時過ぎ、「おい、いいかげん疲れたな。こうなりゃ、ティータイムだ!」と、殿からの“一服宣言”が発動され、この日初めて座っての休憩。が、それもものの20分で切り上げられ、また稽古再開。ただ、さすがにこの時間になると、殿もタップを踏んではすぐにソファーに座るのを繰り返す、休み休みの稽古となりました。午後5時過ぎ、「もう今日はいいだろ。いいかげん死んじまうぞ。しょうがねーからウナギでも取るか」と、殿から指示があり、行きつけのウナギ屋に電話するも定休日で断念。

「おい、前に取ったカツライス(殿はトンカツ定食のことをなぜかカツライスと言います)でも頼むか」

 で、かなり前に一度利用したことのあるデリバリートンカツ店をチョイスするも、すでに閉店していてこちらも断念となりました。

「じゃー寿司か? でも出前で寿司食ってもうまくねーか」

 と、殿が1人勝手に提案してはまた断念。そんなこんなでもう午後7時過ぎ、

「もうあれだ。ピザみたいなのでいいだろ」

 と。結局、Lサイズのピザ2枚、パスタを2種類。それにオニオンスープという“2人じゃ十分すぎる量”を頼み、何だかんだで午後8時前、ピザが到着。殿と2人きりでの緊張と、タップの疲労とでクタクタの中、ピザとパスタを山ほど頂き、稽古はお開きとなったのです。が、翌日、

「昨日、北郷と2人で朝から晩まで稽古して、夜にうまくもねーピザ食ってたら、たまの休みが終わっちまったよ!」

 と、軽く周囲に毒づいていました。

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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

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