社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<虚血性心不全>「夜間頻尿が引き起こす意外なデータも」

 11月半ば、俳優の滝口幸広さんが34歳という若さで「突発性虚血性心不全」で死亡したとの報道を目にした人も多いだろう。

「虚血性心不全」は、冠動脈の閉塞や狭窄などにより心筋への血流が阻害され、心臓に障害が起こる疾患の総称だ。「狭心症」や「心筋梗塞」もこれに含まれ、突然死の大半を占めている。

「狭心症」は心筋に酸素と栄養を供給する冠動脈が動脈硬化を起こし、狭くなったり、血管にけいれんを起こしたりして、突如発症する。

 運動や重い荷物を持ったり、坂道を登るなど、心臓に負担をかける時に起こる「労作性狭心症」、睡眠中や安静時に突然、発作を起こす「安静時狭心症」とに大別される。

「心筋梗塞」は、冠動脈の血流がほぼ止まり、酸欠から心筋の一部が壊死するまで悪化した状態。非常に強い胸の痛みのほか、肩や背中、首などに痛みを感じることもある。冷や汗や吐き気を伴うことも少なくない。

 怖いのは、短時間で急変し、死に直結すること。通勤時や仕事中に突然倒れて意識不明になったり、甲高いうめき声を上げて、口から泡を出すこともある。短時間で心肺停止してしまう場合は、救急搬送しても蘇生できることは非常に少ない。

 虚血性心不全の予防は、この病気の危険因子と言われている高血圧、糖尿病、高脂血症を発症しないようにすることが重要だ。

 特に喫煙は血管を収縮させるだけでなく、活性酸素を発生させ、動脈硬化を促進するので禁煙を心がけて。さらに、塩分・糖分・脂肪分を控えめにしたバランスのよい食事と適度な運動で生活習慣の見直しをしてみよう。また、夜間頻尿や睡眠時無呼吸症候群の人は、血管疾患が発生しやすいというデータもあるので、より注意が必要だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
JR東日本に続いて西と四国も!「列車内映像」使用NG拡大で「バスVS鉄道旅」番組はもう作れなくなる
2
【ボクシング】井上尚弥「3階級4団体統一は可能なのか」に畑山隆則の見解は「ヤバイんじゃないか」
3
これはアキレ返る!「水ダウ」手抜き企画は放送事故級の目に余るヒドさだった
4
舟木一夫「2年待ってくれと息子と約束した」/テリー伊藤対談(3)
5
リストラされる過去の遺物「芸能レポーター」井上公造が「じゅん散歩」に映り込んだのは本当に偶然なのか