社会
Posted on 2013年06月07日 09:58

アベノミクス「労働契約法も変えてしまえ」

2013年06月07日 09:58

 クビ切り法案見送りの偽アドバルーンを打ち上げたその陰で、非正社員を保護してきた有期雇用制度をブチ壊し、継続検討とした事後的金銭解雇法案をより強力にして正社員のクビを切りまくる──。

 こうして出来上がる「全従業員無条件3年解雇」はなんと、ダメノミクスの最終ゴールではない。まだ「穴」があるからだ。安倍総理が総仕上げとして見据えているのは、産業界が小躍りして喜ぶ完全無欠の解雇自由化、すなわち「完全なるクビ切り自由化」なのである。

 あまり知られていないことだが、実はもともと民法では「解雇自由の原則」が定められている。同法第627条に書かれている次の条項がそれだ。〈当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する〉

 条項にある〈雇用の期間を定めなかったとき〉とは正社員としての雇用を、〈各当事者〉とは会社側と正社員側を指している。つまり、この条項を会社側から眺めれば、「2週間以上前に通告しさえすれば、会社側は正社員を解雇できる」ということになるのである。

 にもかかわらず、この条項が現実に適用されてこなかったのは、会社側の一方的な暴走を防止するため、別に「労働契約法」なるものを定め、民法の規定を制限していたからにほかならない。安倍総理は今、民法第627条の条項を労働契約法にも明記することで、会社側の都合による正社員の解雇を無制限に認める制度改正を一分の隙もなく「完成」させようとしているというのだ。

「解雇自由化法案さえ通してしまえば、全て解決となる。安倍総理が選挙前にひた隠す最終兵器ですよ」(前出・官邸関係者)

 ただし法律の改正には周知期間も含め、最低でも1年くらいはかかる。物理的にも政治的にも最終ゴールまでのハードルは低くはなく、参院選後に着手したとしても、場合によっては決着が次の衆院選までもつれ込む危険性が大いにありうるのだ。

「そこで安倍総理が食指を動かし始めているのが、電撃的な衆参同日選挙だ」

 こう語るのは、安倍総理の側近議員の一人。同日選に打って出て国民を欺くことができれば、衆院については向こう4年間、参院については向こう3年間、選挙の心配をする必要がない。その間に、同日選の圧勝で得た多勢に無勢の状況下で「完全なるクビ切り自由化」を一気に成立させようという魂胆である。

 まさに「勝てば官軍」のやりたい放題。正社員、非正社員を問わず、悪夢の貧困生活への禁断の扉が今、開かれようとしている。

 

ジャーナリスト 森省歩

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