芸能

笑福亭鶴光が林家木久扇を爆笑直撃!「笑点」出演50年の「裏事件」(2)自分のクルマやと大事に走りよる

鶴光 怪談噺、教わらなかったんですか。

木久扇 習ったんですけど、師匠の話って、途中から突然、始まるんで、筋が全然わからない(笑)。

鶴光 よく聴いてた噺家て誰ですか。

木久扇 清水崑先生の弟子として漫画を描いている頃、よくラジオで(三代目三遊亭)金馬師匠を聴いていて。独特のリズムで、わかりやすかったですね。

鶴光 金馬師匠の「居酒屋」の小僧なんて、なんとも言えん味わいでしたな。

木久扇 絵が浮かぶんですね。60年前の8月、ウチの先生が「芸人になったほうがいい」って知り合いの(三代目)桂三木助のところに手紙を書いてくれて、田端の家に行ったんです。その手紙を読んで、「あなたはそんなに落語が好きなんですか」って。そんなに好きじゃないけど、「はい、好きです」「アタシの噺では何を聴いてくださいましたか?」。全然知らないんです(笑)。

鶴光 普通は「芝浜」て言いますわな。

木久扇 一瞬困ったけど、NHKのラジオで金馬師匠が「饅頭こわい」やったあとにインタビューされて、アナウンサーが「このお噺、いろんな師匠がおやりになりますけど、それぞれの演出がおもしろいですね」って言ったの、覚えていたんですよ。それで、「えーと、『饅頭こわい』です」。

鶴光 三木助師匠の「饅頭こわい」て、聴いたことがない。

木久扇 談志さんや(五代目)圓楽さんらの若手落語会のゲストで「饅頭こわい」をやったらしいんです。「アタシの得意はああいう軽い噺じゃないんですよ。若手の会ではやりましたけど」って言いながらも、機嫌よくなっちゃってね(笑)。

鶴光 ああいう会に来てるのは、よっぽど好きなヤツて思われたんやな。

木久扇 「明日からいらっしゃい」って言われ、戻って先生に報告したら「行ったほうがいい。ウチの手伝いなんて、誰でもできるんだから」って。だから、行きたくなかったですよ(笑)。

鶴光 (三代目桂)米朝師匠も、浪曲「天保水滸伝」の台本を手がけた作家・正岡容(まさおかいるる)の一番弟子。ほんで、ちょっと落語の勉強してこい言われて、行きたくなかったのに、(四代目桂)米團治師匠に入門。「なんでワシがそんなとこ行かされるんやて思うた」言うてました。

木久扇 ばくち打ちでもあった三木助師匠は、人を見抜く方でしたね。お茶にも難しいんです。茶をついで持っていくと、「急須も持っといで」。で、パッと蓋取って、「バカ野郎。茶殻がついてるじゃねーか」。雨の日、「クルマ拾っといで」「師匠、クルマが参りました」「これは個人じゃねーか。アタシは個人には乗らねーよ。帰しな」って。

鶴光 ウチの松鶴も個人タクシーはダメなんです。「自分のクルマやから大事に走りよる。会社のクルマなら、思いっ切り走る。だからエエのや」て(笑)。

木久扇 三木助師匠は58歳という若さで亡くなって。

鶴光 米朝師匠が三木助の名前を欲しがってました。(三遊亭)圓馬も(桂)文治も、もともとは上方落語の名跡。米朝師匠はそういう名を戻したい言うてました。

林家木久扇(はやしや・きくおう)1937年10月19日、東京・日本橋出身。60年、三代目桂三木助に入門。翌年、三木助没後、八代目林家正蔵門下へ移る。69年から日テレ「笑点」のレギュラーメンバー。73年に真打昇進。2007年、親子ダブル襲名により林家木久扇を襲名。落語協会相談役。俳人協会会員。鯨の食文化を守る会副理事。出囃子は「宮さん宮さん」。持ちネタは「彦六伝」「目黒のさんま」「湯屋番」「鮑のし」など。著書に「林家木久扇のみんなが元気になる学校寄席」絵本「ラーメンてんぐ」「親馬鹿力のおかげです」「木久蔵一代 バカの中身」「キクゾーのチャンバラ大全」など。「『笑点』のオープニングで登場するメンバー紹介アニメの似顔絵は私が描いたんですけど、評判がいいんで、絶賛放映中です」

笑福亭鶴光(しょうふくてい・つるこ)1948年1月18日、大阪市出身。67年、上方落語の六代目笑福亭松鶴に入門。74年からニッポン放送「オールナイトニッポン」などのパーソナリティとして人気。東京を拠点に上方落語の発展に尽くす。上方落語協会顧問。落語芸術協会上方真打。出囃子は「春はうれしや」。師匠譲りの豪快な話芸で「相撲場風景」「三人旅」などを得意にしている。J:COMJテレにて隔週土曜「オールナイトニッポン.TV@J:COM」、J:COMチャンネル関西エリアにて毎週土曜「ジモト満載えぇ街でおま!」に出演中。「1月13日に横浜にぎわい座で笑福亭鶴光一門会を開催。茶光の二ツ目昇進祝いなど、にぎやかで楽しい上方落語の世界をご堪能あれ。ワシは『子別れ』をやりまっせ」

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