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記事全文を読む→藤井聡太「8冠」までの1000日計画(6)「小さな挫折」からの初戴冠
藤井棋聖は中学生プロになった時点で、すでに器が違っていた。詰将棋解答選手権チャンピオン戦で大会史上初の小学生優勝を果たしたうえに、プロ入りまでに3連覇していた(その後、プロ入りしてからも2連覇中。今年はコロナで中止)。ハナから誰よりも終盤が強いという手土産を持ってのプロ入りだったのだ。
先に解説した「5四金」は序盤から中盤にさしかかる42手目に、「3一銀」は中盤真っただ中の58手目に指された。佐藤七段が成長を感じた一因はそのあたりにもあろう。中盤戦のじっくりとした強さをことさら印象づける妙手なのだ。
藤井棋聖の現在の序盤戦術は「角換わり」が多い。早いうちに角を交換して持ち駒にし、そこから陣形を整理。取った角をいい位置に打ち込むという変化の将棋で高い勝率をあげている。文字どおりの得意戦法だ。
だが、佐藤七段は、
「これからもっと多くの戦法に興味が湧いてくると思いますよ」
と指摘する。戦法が多彩になれば、オールラウンドプレイヤーとして間口が広がっていくのだ。
佐藤七段は「小さな挫折」も指摘する。
昨年11月、大阪王将杯王将戦の挑戦者決定の大一番で、広瀬章人竜王(当時)に敗れたこと。これは苦しい勝負にしつこく食いついて、ついには大逆転で勝勢へともっていきながら、最後にかけられた龍の王手を歩で合駒したばかりに頓死(玉をかわしていたら勝っていた)。
終盤の鬼にとっては、悔やみきれない敗戦だった。そこからはい上がって、次のタイトル挑戦チャンスが棋聖戦だったのだ。そして初戴冠──。
8月4日─5日は、木村一基王位(47)に挑戦する王位戦七番勝負第3局に挑んでいる(本記事は8月4日発売の「週刊アサヒ芸能8/13・20合併号」に掲載)。ここまで藤井2勝、木村0勝。あと2勝すれば、藤井は二冠となる。
「着物姿もずいぶんと板についてきましたね。最初は一人では着られないので、呉服屋さんに部屋まで来てもらい、着付けてもらっていましたけれど、すぐ慣れて一人で着られるようになるでしょう。所作もしっかりとこなしています。棋聖になったことで、先輩棋士相手に上座に座ることが多くなりますが、これは棋士として感慨深いことです。ムズムズする思いがあるのです」
そして、夢の八冠はあるのか──。佐藤七段の答えはこうだ。
「5年後、2025年、藤井さんが23歳の頃ですね。立ちふさがる最大のライバルは、羽生善治九段だと思います」
淀みなくズバリ言い切った理由は次回で明かそう。
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