社会

今なお“家庭内亀裂”に悩む被災者(2)家族そろっての五輪観戦を祈るばかり…

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 B氏は震災から半年で自宅に戻れた。深刻な被害を受けた周囲から比べれば、「ラッキーだったと思った」(B氏)と言うが、平穏になりかけたある日のことだった。

「突然、仕事先にいた時に妻から電話が入ったのです。母が近くの川に飛び込み自殺をはかったというんです。家に戻ると、母はずぶ濡れの衣服を着たまま泣きじゃくっていた。自宅の片づけの時に『自分が何にも役に立たなかったのをずっと気にしていた』と言いだしたんです。母は今も心療内科に通っています。でも、その時、私もつい妻が家にいながら母の様子の変化に気づかなかったことに腹を立て、『お前は何をしていたんだ!』どなりつけてしまった。以来、夫婦仲は最悪になって、今も隙間風が吹いています。7年後の東京五輪? 自分1人でテレビ観戦しているんじゃないかと不安になりますよ」(B氏)

 地震と津波の被害に加えて、原発事故の被害を被ったのが福島県だ。現在も福島第一原発周辺の市町村は、「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰宅困難区域」と、立ち入りや居住を制限された地域があり、多くの避難生活者を生んでいる。

 福島県広野町は原発事故直後に全域が「緊急時避難準備区域」に指定され、11年9月に解除されたが、いまだ帰還しない住民が多い。それは、12年の2学期から再開した町内の小中学校の児童生徒数からもわかる。12年9月の時点で、小学生65人(在籍者の23.6%)、中学生31人(同18.5%)。それから1年が経過した今年8月末時点でも、小学生が74人、中学生が42人にとどまっている。

 広野町教育委員会関係者はこう話す。

「子供の数はわずかに増えていますが、町への帰還者が増えたとは言えないのが現状です。少人数で手厚い教育が受けられるということをPRしているのですが‥‥」

 子供の数が減ったことをアピールするのは逆効果にしかならなかった。

 いわき市で避難生活を送る広野町の男性が言う。

「放射能が怖いとか、子供たちが避難先の学校でうまくやっているからとか、そんな理由で戻らないと報じられているけど、意外と多いのは、嫁姑問題で戻らない人だ。避難先では、さすがに親と同居できないので、離れて暮らしている。そっちのほうが、気楽だという奥さん連中が多いんだよね」

 思わぬ形で「亀裂」に気づく避難家族もいたのだ。

 福島県田村市の東部に位置する都路町。その一部は原発20キロ圏内に入り、一時は「警戒区域」となっていた。その20キロ圏内の除染を国が6月までに終えた。そのおかげで、この夏から旧警戒区域では初めて一時宿泊が許された。

 その都路町に13年前に定住した田舎暮らしライターの山本一典氏は、町の現状をこう話す。

「現在は、20キロ圏外の宅地の除染が行われている最中です。学校などの公共施設の除染はすでに完了し、町のアンケート調査で父兄の8割が学校再開を望んでいることがわかり、来春の学校再開はまず間違いない状況です。まだ完全に帰還した人は多くはありませんが、学校が再開するのは都路町が地域として残っていくうえでは欠かせないことで、町の再生につながると思っています」

 東京五輪が開催される7年後、1人でも多くの被災者が家族そろって競技を観戦できることを祈るばかりだ。

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