社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<声のトラブル>耳鼻科で異常なしでも痰が絡む咳が続いたら…

 外食の自粛や、リモートワークの推進などにより、人と会う機会が減っている人も少なくないだろう。そうした中、なぜか「声が出しにくい」「声がかすれている」などの症状を訴える人が増えているという。

 声のトラブルに悩む人は全国に6%、752万人ほどいると推定されている(2016年・京都学園大学・健康医療学部紀要)。

 特に多いのが「けいれん性発声障害」。これは声を出そうとすると、自分の意思とは無関係に、声帯が異常な動き方をしてしまう病気。主な症状は「のどに詰まりを感じる」「1音目が出にくい」「痰が絡む咳払い」など。

 診断が困難なため、耳鼻科で受診をしても、「異常なし」「精神的なストレスが原因」と言われて放置される場合が多い。

 原因不明のため、治療は声帯筋のジストニアの対症療法となる。声帯筋へボツリヌス注射をして、声帯筋の動きを麻痺、脱力させる。注射の効果は2~3カ月程度で、繰り返しの注射が必要となる。症状が重い場合などには手術療法もある。

 スピーチの時などにスムーズに声が出なければ「過緊張性発声障害」の可能性が高い。これは、誤った発声の仕方が原因で、舌やのどの筋肉が緊張してしまうことで声が詰まる。治療は、発声の仕方を正すために、ボイストレーニングなどで音声治療を行うのが一般的である。

 また、なんらかのストレスにより、突然声が出なくなるなど、心理的な疾患や精神疾患が関わる場合は「心因性発声障害」の可能性が高い。治療は、カウンセリングや暗示療法を行うが、症状が重い場合には精神科での治療が必要となる。

 いずれも命に関わる危険はないが、コミュニケーションに支障を来す可能性があるため、本人にとってはかなりつらい。気になる場合は、一度、発声障害専門の医療機関を受診しよう。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<中年太り>神経細胞のアンテナが縮むことが原因!?

    加齢に伴い気になるのが「中年太り(加齢性肥満)」。基礎代謝の低下で、体脂肪が蓄積されやすくなるのだ。高血圧や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に結びつく可能性も高くなるため注意が必要だ。最近、この中年太りのメカニズムを名古屋大学などの研究グル…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<巻き爪>乾燥による爪の変形で歩行困難になる恐れも

    爪は健康状態を示すバロメーターでもある。爪に横線が入っている、爪の表面の凹凸が目立つようになった─。特に乾燥した冬の時期は爪のトラブルに注意が必要だ。爪の約90%の成分はケラチン。これは細胞骨格を作るタンパク質だ。他には、10%の水分と脂質…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「王貞治の言葉」で一気に現実味を帯びる「田中将大の移籍先」に「ソフトバンク」
2
ソフトバンクFA甲斐拓也「茶髪バッサリ」が示唆する「あの金満球団」への「移籍準備」
3
久里亜蓮「まさかのオリックス移籍」人的補償でプロテクトから外れる候補に「超意外な大ベテラン」
4
「バス旅」情報続々で…「ポスト蛭子能収」は2人の「クズ芸人」太川陽介が認めるのはどっちだ
5
「あと1年続投なら違う結果が出た」中日・立浪前監督の退任に異を唱えた元コーチの見解