社会

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<胃炎>「慢性」長期化で「胃ガン発症」の報告も

 胃痛や胸焼け、食欲不振など胃の不調には様々な原因がある。その最たる病気が「胃炎」だ。

 胃炎とは、胃の粘膜に炎症が起きた状態を指すが、「急性胃炎」と「慢性胃炎」の2種類に大別される。前者は、食べすぎや飲みすぎなどが原因で、胃の粘膜がただれて、みぞおちがキリキリと痛む。ひどい場合は、嘔吐する場合もあるが、通常4~5日で回復する。

「慢性胃炎」の場合は、月単位あるいは年単位で胃の粘膜に長期的な異変が生じる。激しく痛みを感じる人もいれば、無症状の人もいるが、原因の約8割はピロリ菌感染によるものだ。長期化すると、胃の粘膜が萎縮する「萎縮性胃炎」になり、さらに進むと、胃の粘膜が大腸や小腸の粘膜に似た状態になる「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」を発症する。この「腸上皮化生」の一部が胃ガンになるという報告もある。

 近年の研究結果では、胃ガンの99%がピロリ菌による感染症であるということもわかっているほどだ(一般社団法人予防医療普及協会統計データより)。

 ピロリ菌はもともと胃の中に住んでいるもので、免疫が不十分な5歳くらいまでに感染すると言われている。しかし、公衆衛生が向上して、ピロリ菌感染者は50代以上では40%程度、40代は20%程度、10代は5~10%程度に減少している。

 2013年からは内視鏡検査で「ピロリ菌感染胃炎」と診断された場合は、保険診療でピロリの除菌ができるようになっている。これは、除菌剤や胃の炎症を抑える薬の服用などで行われる。除菌後には、食べすぎや飲みすぎ、刺激物の摂取、飲酒や喫煙などをできるだけ控える、生活習慣を改善することも心掛けたい。

 ただし、一度でもピロリ菌に感染したことがある人は、除菌しても胃ガンのリスクがゼロにはならない。1年に1回は胃カメラ検査を受けることが重要だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

カテゴリー: 社会   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
2
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
3
高島礼子の声が…旅番組「列車内撮影NG問題」を解決するテレビ東京の「グレーゾーンな新手法」
4
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
5
皐月賞で最も強い競馬をした3着馬が「ダービー回避」!NHKマイルでは迷わずアタマから狙え