社会
Posted on 2021年04月12日 05:55

医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<胃炎>「慢性」長期化で「胃ガン発症」の報告も

2021年04月12日 05:55

 胃痛や胸焼け、食欲不振など胃の不調には様々な原因がある。その最たる病気が「胃炎」だ。

 胃炎とは、胃の粘膜に炎症が起きた状態を指すが、「急性胃炎」と「慢性胃炎」の2種類に大別される。前者は、食べすぎや飲みすぎなどが原因で、胃の粘膜がただれて、みぞおちがキリキリと痛む。ひどい場合は、嘔吐する場合もあるが、通常4~5日で回復する。

「慢性胃炎」の場合は、月単位あるいは年単位で胃の粘膜に長期的な異変が生じる。激しく痛みを感じる人もいれば、無症状の人もいるが、原因の約8割はピロリ菌感染によるものだ。長期化すると、胃の粘膜が萎縮する「萎縮性胃炎」になり、さらに進むと、胃の粘膜が大腸や小腸の粘膜に似た状態になる「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」を発症する。この「腸上皮化生」の一部が胃ガンになるという報告もある。

 近年の研究結果では、胃ガンの99%がピロリ菌による感染症であるということもわかっているほどだ(一般社団法人予防医療普及協会統計データより)。

 ピロリ菌はもともと胃の中に住んでいるもので、免疫が不十分な5歳くらいまでに感染すると言われている。しかし、公衆衛生が向上して、ピロリ菌感染者は50代以上では40%程度、40代は20%程度、10代は5~10%程度に減少している。

 2013年からは内視鏡検査で「ピロリ菌感染胃炎」と診断された場合は、保険診療でピロリの除菌ができるようになっている。これは、除菌剤や胃の炎症を抑える薬の服用などで行われる。除菌後には、食べすぎや飲みすぎ、刺激物の摂取、飲酒や喫煙などをできるだけ控える、生活習慣を改善することも心掛けたい。

 ただし、一度でもピロリ菌に感染したことがある人は、除菌しても胃ガンのリスクがゼロにはならない。1年に1回は胃カメラ検査を受けることが重要だ。

田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。

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