芸能

松田聖子の「紅白出場」はなぜ“大誤報”となったのか?報道合戦の舞台裏を取材すると…

 急死した女優の神田沙也加さんの母で歌手の松田聖子が、「第72回NHK紅白歌合戦」の出場を辞退したことが、発表された。

 聖子は紅白に25回目の出場予定だったが、沙也加さんは12月18日、ミュージカル公演で滞在していた札幌市内のホテルから転落して死亡。NHKは22日、聖子の出場について「聖子さんのお気持ちを最大限尊重し対応させていただく」と説明していた。

 聖子は、予定通りに出場する可能性が高いとして「紅白出場へ」と24日、日刊スポーツに報じられた。同紙によれば、沙也加さんが急死して憔悴しきっていたが、荼毘に付し、最後の別れができて「娘のためにもしっかりと歌わないと。娘に恥じないようにしないといけない」と決意したという。

 だが、その翌日に出場辞退が発表され、結果的に“大誤報”となった。

 なぜ、日刊スポーツは外してしまったのか。背景の一つとして、スポーツ各紙が沙也加さんの急死をめぐって報道合戦を繰り広げ、同紙が焦ったことが挙げられている。

「スポーツ紙では、スポニチが沙也加さんの重体、沙也加さんがのどの不調を抱えていたことなどを、スポーツ報知は沙也加さんの急死、沙也加さんが転落する直前に父で俳優の神田正輝に電話ししていたことなどをいち早く報じました。サンスポは聖子が札幌に極秘入りしたことを報道。一方、日刊スポーツは取材が難航していたようです」(ワイドショー関係者)

 日刊スポーツは、聖子の紅白出場情報をキャッチして勝負に出たが、結局“ガセ”になってしまった。

「日刊スポーツはかつて“スポーツ紙の雄”でした。数々の報道で名を馳せましたが、近年はスポニチの独走を許しています。日刊スポーツは記者の退社が続いて、取材力が低下。48グループの担当記者は競合他紙への情報漏洩が発覚したため、退社してフリーに。映画担当記者は長時間労働に嫌気が差し、退社して他媒体へ。若手記者は実家の都合で退社しました」(スポーツ紙記者)

 沙也加さんをめぐる報道は過熱したため、厚生労働省は19日、「自殺報道ガイドライン」を踏まえた報道を要請し、歯止めをかけようとする事態になった。

 人の命が関わる報道は、より慎重にならなければならない。

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