社会

江戸時代の半グレ親玉「金品強奪」「市中大暴れ」悪行三昧が招いた20歳の切腹

 江戸前期、銀の差し歯を光らせながら、市中を嫌がらせして回る集団の親玉がいた。旗本奴の山中源左衛門、本名・重之である。

 旗本奴とは旗本の青年武士やその奉公人、およびその集団、かぶき者のことで、今でいうヤンキー、半グレである。代表的な人物は、3000石の大身旗本ながら無法の限りを尽くし、敵対勢力である町奴の大物侠客・幡随院長兵衛を殺害した水野十郎左衛門だ。

 だが当時、水野に負けず劣らず有名だったのが、山中。小普請奉行も務めた、500石の旗本である。1石は140キロで、現代の米価格では約5万円。年収約2500万円のエリートサラリーマンといったところだ。しかも、役職手当である役料がつく。

 だが、甘やかされた金持ちのボンボンで、とにかく性格が悪かったらしい。飲食代を踏み倒し、因縁をふっかけては金品を奪ったりもした。家屋の障子を割り、金品を強奪するなどの乱暴狼藉が大好きだった。仕事もせずに江戸市中を暴れ回わり、人が嫌がる姿を見て大喜びしていた。

 旗本奴には水野が率いた大小神祇組、鉄砲組など、代表的なグループが6つあり、「六方組」とも呼ばれていた。彼らは江戸の方言を基にした、言葉の最後に「べい、べえ」などを付ける六方詞(ろっぽうことば)を使っていた。当時としては粗野な言葉遣いだったという。

 服装も派手で色鮮やかな女物の着物を羽織ったり、袴に動物皮で継ぎはぎをしていた。通常の物より長い大太刀や大煙管(きせる)を持ち、町中を闊歩して恐れられた。

 だが山中は、さらに異形だった。ケンカで折れたのかは定かではないが、前歯がなかった。そのため、銀製の差し歯を特注していたという。突然、出くわした人間は腰を抜かすだろう。

 とはいえ、さすがに無法の数々が発覚。正保二年、切腹を命じられた。その時「翌日は鳥が掻ッ咬じるべい」で終わる、六方詞の辞世の句を詠んだ。それも驚きだが、一説によると享年はわずか21。満20歳の若輩者だったことは、さらに驚きだ。

(道嶋慶)

カテゴリー: 社会   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
「花咲舞が黙ってない」第3シリーズ「主演候補」は今田美桜のほかにもうひとりいた
2
フジテレビ・井上清華アナ「治らない顎関節症」と「致死量ストレス」の不穏な関係
3
【ドラマ「Believe」】受刑者キムタク「スタイリッシュでカッコいい&丸刈りナシ」押し売りだらけの超ウンザリ感
4
佐々木朗希・佐藤輝明・堂林翔太の「欠陥プロ野球カード」に「マニア大量購入⇒高額転売」のウハウハ
5
テレビ朝日・斎藤ちはるアナ「ラグビー姫野和樹とお泊まり交際」に局内大歓迎の理由