スポーツ

世界のプロ野球を変えた「グラブで口元を隠す習慣」きっかけは桑田真澄の「つぶやき投法」だった

 今では日本のプロ野球でも大リーグなどでも当たり前になっているのが、ピンチなどでマウンドに向かった捕手やコーチが投手と話し合っている時の所作だ。口元をグラブで隠す、あの習慣である。口の動きで何を喋っているのかバレてしまうから、という理由なのだが、実はこれ、日本発祥の行為なのだ。

 1986年、巨人の桑田真澄は入団2年目で絶好調だった。そのマウンドをテレビで見ていた、とある週刊誌の編集長は、桑田がマウンドでブツブツとつぶやいているのを見て、思い立った。

「アイツが何を喋っているのか、解析しよう」

 編集会議で提案し、分析が始まった。当時はマウンドに選手が集まってもグラブで口元を隠す習慣はなく、桑田はマウンド上で何度も何度もブツブツつぶやいていた。そこで桑田が登板した録画テープを手に入れることから始まった。作業にあたった週刊誌の関係者が明かす。

「録画テープを手に入れるのは、なかなか簡単ではなかったんです。今の時代のように簡単に録画ができる時代ではなかったから、テープを所有している人を探すところから始まりました。ようやく手に入れて桑田の登板シーンを編集し、それを複数の読唇術の専門家に見てもらって、やっと記事にできたのです」

 ただボーッと野球を見ていたら、こんなアイデアは出なかったかもしれない。関係者が続ける。

「桑田のつぶやきのほとんどは、自分自身に話しかけているものが多かった。読者の反応はすさまじく、3週間にわたり『つぶやきの正体』として、桑田を特集したんです。それからはつぶやきを見破られないようするためクラブで口元を隠す行為が各チームに広がり、それが大リーグなど世界中にも浸透していったというワケです」

 桑田は大リーグのパイレーツとマイナー契約を結んだ2007年12月に、青森県八戸市で講演会を開いているが、ここで「つぶやき投法」について語っている。マウンド上でボールに語りかける独自のスタイルを、

「アメリカでは語学力もレベルアップさせたいからね」

 なんと「英語でつぶやく」を実践する考えを明かしたのだ。

「(つぶやきは)あれはテクニック。ジミー・コナーズもラケットを見つめながらつぶやいた。自分に近いものを見つめ、集中力を高める。僕もメジャーでもいろんなテクニックを駆使してやるしかない」

 自らを鼓舞するため、あのつぶやきは始まったのだろう。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
3
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
4
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身