嵐の櫻井翔が「消えた」──。
ジャニーズ事務所の性的虐待問題は政界をも巻き込む大騒動となり、ニュース番組でも軒並み報道される社会問題に発展している。
5月15日には日本テレビの報道番組「news zero」でもこの問題を取り上げたのだが、そこで有働由美子キャスターが「この件については番組で話し合って、私が話します」と切り出したのだ。
カメラは有働の隣にいる嵐の櫻井翔をフレームアウト。有働が口を開く。
「まずは性被害については、被害者のケアを最優先で考えてほしい。そしてエンタメを通じてたくさんの夢を見せてきてくれたジャニーズだからこそ、ファンや私たちが迷いなく夢を見続けられるようにしてほしい。そのためには今回の説明に留まらず、プライバシーを十分に守った上でですが、情報をオープンにする社会的責任を果たしていくべきだと思います。そして私たち『zero』も性被害は絶対に許さないという姿勢で、しっかりと向き合っていきたいと思います」
そう一気に伝えると、桜井の表情を窺うこともないまま、CMに切り替わったのである。
日本テレビはこの日「DayDay.」でもMCの武田真一がジャニーズの性加害について言及した。元NHK出身アナに性加害報道を『丸投げ』する格好となったのである。テレビ局報道番組関係者が、顔をしかめて言う。
「この対応は非常にまずかった。視聴者に対し、櫻井も『当事者の一人』と印象付けてしまったからです」
事実、そう感じた視聴者は数多く、
「キャスター失格」「逃げた。これまでの桜井の『真実を伝える』というのは嘘だったのか」と辛辣な声が飛び出したのである。報道番組関係者が続けて、
「今まで性加害疑惑をスルーしてきた経緯から、ジャニーズファンは『所属タレントは被害者』『桜井クンが言及できるわけがない』と桜井擁護のコメントがSNSに書き込まれていますが、これは『今まで応援してきたジャニタレが性被害に遭っていた』とファンが認識、動揺していることの裏返しでもあります。ジャニー喜多川氏の身内である藤島ジュリー景子社長が何を言っても、ファンには刺さらない。性加害報道に傷つくファンに対し、桜井はきちんと自分の口で伝えるべきでした」
おそらく局側の「忖度」という方針によるものだったのだろう。だが官房長官が異例の言及を行い、法改正にまでコトが拡大しつつあるこれだけの問題に対し、結果的に「櫻井隠し」と映る手法は、櫻井の評判を落とす結果となり、さらには番組の信用性を貶めるだけではなかったか。
この問題に言及したタレントは、石原良純ぐらいだ。「めざまし8」（フジテレビ系）の谷原章介もダンマリを決め込んでおり、見て見ぬフリの態度。これぞ芸能界。タレントにキャスターやコメンテーターは務まらないと、改めて視聴者に強く印象づけることとなったのである。
