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掛布雅之 阪神と巨人の“差”とは?(2)

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 先日、独身寮で梅野と顔を合わせた際も、「(プロの打者は)すごいですね」としみじみ語っていました。思い切りのいい打撃と強肩は確かに魅力がありますが、あまりにもドラフト4位の新人に負担をかけすぎたのではないでしょうか。阪神は捕手2人制で、先発マスクを任せると簡単には代えられない布陣です。ですが、打撃も打率2割前後に苦しみ、リードも若さが否めません。シーズンの大詰めでは捕手3人制にして、藤井彰ら経験豊富な捕手の力を借りる手があったのではないでしょうか。

 そもそも今年の阪神の開幕捕手は清水でした。それが、開幕戦で巨人に4対12と惨敗を喫し、2戦目からはベンチを温め、4月上旬には二軍降格となったのです。考えてみれば、2014年はスタートから巨人との戦いで「形」を崩されました。巨人のようにみずから「形」を動かすのとは違い、しかたなく「形」を崩してしまったのです。

 動かす必要のないオーダーで、甲子園で3連勝した巨人ですが、試合の中では適材適所で駒を動かしてきました。足のスペシャリストの鈴木尚に代表されるように、巨人は機動力を使って1点を奪うことができるのです。今年は例年ほどホームランが期待できるチームではなく、より鈴木尚の足がクローズアップされるシーンが増えました。シーズンの得失点を見ても得点がわずかに上回るだけで、いかに接戦を拾ってきたかがわかります。

 一方の阪神は控えのベンチメンバーが重たすぎて、動くに動けない状況が多かったと言えます。重たいというのは、同じタイプの選手が多く、カードの切りようがなくなるのです。一時は新井兄弟に関本と、同じようなタイプの右打者3人が控えるなど、アンバランスなメンバー構成となっていました。

 そして、最後に触れておきたいのは鳥谷についてです。今回の巨人3連戦(甲子園)は12打数1安打の1打点。前カードの中日3連戦(ナゴヤD)も12打数2安打の打点0と、9月の6連敗は彼の不振が大きく響いています。ユニホームには主将を表す「C」マークが入っているのです。伝統の一戦の勝敗を背負わなければいけない男です。ですが、関西のスポーツ紙は和田監督の責任は厳しく追及しても、鳥谷を責める論調にはなりません。私なら叩かれないことを、逆に寂しく感じるはずです。

 決して言い訳しない選手ですから、故障を抱えながらプレーを続けているのかもしれません。それでも秋に結果を残せなければ、フルイニング出場も打率3割も価値が半減します。レギュラーシーズンが終わっても、クライマックスシリーズというリベンジの機会が残されています。今季の鳥谷は巨人戦でのホームランが1本もありません。ポストシーズンでは、悔しさをバットで表現してくれると期待しています。

阪神Vのための「後継者」育成哲学を書いた掛布DCの著書「『新・ミスタータイガース』の作り方」(徳間書店・1300円+税)が絶賛発売中。

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