スポーツ
Posted on 2023年08月05日 17:58

あの落合博満が最も苦手にした「奇跡のリリーバー」盛田幸妃の45年人生

2023年08月05日 17:58

 今、彼のような投手がいれば、DeNAはセ・リーグの首位を走っていたかもしれない。あの「オレ流」落合博満氏が最も苦手にしていた投手を知っているだろうか。「奇跡のリリーバー」と呼ばれた盛田幸妃氏である。盛田氏とチームは、固い絆で結びついていた。

 函館有斗高から1987年のドラフト会議で大洋ホエールズ(現DeNA)から1位指名を受けて入団したが、この時に話題になったのが、父親のことだった。

 盛田氏の父は当時、北海道で漁師をしていた。ある日、その父親が出漁中に虫垂炎にかかる。それを助けたのが、当時のチームの親会社・大洋漁業の船だった。

 父親はその船に収容されて一命を取りとめたため、大洋にドラフト指名された際、盛田氏は「今度は僕が助ける番」と恩返しを誓い、話題を呼んだ。事実、一時は大魔神・佐々木主浩氏とともに、ダブルストッパーとして活躍している。

 その盛田氏を病魔が襲ったのは、近鉄に移籍した1998年のことだった。開幕からリリーフ投手として登板していたが、5月末から右足首の違和感や麻痺などが起こり、次第に状態が悪化。その後、検査でゴルフボール大の髄膜腫(良性の脳腫瘍)が見つかり、9月に摘出手術を受けた。

 右足に麻痺が残る後遺症に苦しめられたがリハビリで克服し、1999年のシーズン最終戦で1軍復帰。奇跡のカムバックを果たしている。2001年6月13日のダイエー(現ソフトバンク)戦では1082日ぶりの勝利投手となり、オールスターにも出場。カムバック賞を受賞した。

 翌2002年に引退し、オフに横浜の球団職員としてチームに復帰したが、2005年夏に脳腫瘍が再発する。2010年には脳腫瘍の転移による骨腫瘍も発生し、2015年10月16日に横浜市内の自宅で死去した。45歳という若さだった。

 シュートは一級品で、あの落合氏を通算50打数9安打、打率1割8分に抑えた名投手。もし今のDeNAにいれば、もっと楽に優勝争いを演じていたのではないか。

(阿部勝彦)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/7/22発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク