芸能

緊急追悼連載! 高倉健 「背中の残響」(2)“もうちょっとギラギラしろ”と助言

20141211i

 曽根は自身を、高倉の「直系の後輩」と呼ぶ。京都に比べれば「添え物(併映扱い)」と呼ばれる映画が多かった東京の撮影所で、高倉は希望の星だった。

 そして曽根は、2度も高倉に顔を立ててもらったと感謝する。

「東映祭りと称した旅があって、健さんや鶴田浩二さんを中心とした歌のショーをやるんだよ。忘れもしない大阪グランドホテルで、健さんが『曽根、お前、大阪だったな?』と聞いてきてね」

 曽根が「はい」と答え、リハーサルの時から母親が来ていることを告げた。すると高倉は母親のもとへ駆け寄り「曽根にはお世話になってます」と頭を下げる。

「うちのお袋、席に座ったまま感激でヒザが震えとった。鶴田さんが悪いというわけじゃないが、そこの性格が2人は違っていたね」

 2度目は曽根がプロデュース業に進出した96年のこと。息子の曽根英樹(現・悠多)を主演にしたVシネマを撮り、たまたま金沢で高倉に会う機会があった。

「息子にも名刺を渡して、何かあったらいつでも言って来いって励ましてくれる。それは、親として顔が立ちますもん」

 尊敬する先輩と、善光寺の豆まきに2人で招かれたことも忘れられない。

 そして曽根と同じく八名信夫もまた、早い段階から高倉に接している。もともと東映フライヤーズの投手だった八名は、59年に俳優に転向すると、180センチを超える体格を生かした。

「健さんとは100本以上は一緒にやったのかな。敵役は体が大きいほうが迫力あるし、それに俺は野球をやっていたから、主役にケガをさせるような動きの悪さは1回もなかった」

 よく知られたエピソードだが、プレゼント魔の高倉から八名も高級ジャンパーをプレゼントされている。ところが、もらって間もなくにダメにした。殺人鬼を演じた映画で、警察に捕まる場面を上野駅でゲリラ撮影。八名を「ホンモノ」と思い込んだ乗客たちから袋叩きにされる。

「健さんからもらったジャンパーも袖から引きちぎられたよ。どうやって謝ろうかと思っていたら、その場面を『あれ、良かったよ』と褒めてくれたんだ」

 それとは逆に、八名はデビューから10年以上もたって高倉に叱責された。悪役として名前が売れた頃、高倉は言った。

「もうちょっとギラギラしろよ! 東映に入って、1000円か2000円のギャラでやっていた時のほうがいい目をしてたぞ!」

 さらに高倉は、敵役として相対した時の呼吸も八名に伝えた。

「相手を殺す前に怖がれ。殺すほうが怖いことを理解したら迫力が出るから」

 八名にとって、本格的に「悪役」と取り組んだ契機である。そういえば、と八名は思った。邦画史に残る傑作の「飢餓海峡」(65年)に八名もヒモ男役で出演しているが、若手刑事役の高倉が内田叶夢監督にシゴかれている場面を見た。

「それまでサラリーマン物が多かった健さんが、あの映画で何か突き抜けた感じがしましたね」

カテゴリー: 芸能   タグ: , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    ゲームのアイテムが現実になった!? 疲労と戦うガチなビジネスマンの救世主「バイオエリクサーV3」とは?

    Sponsored

    「働き方改革」という言葉もだいぶ浸透してきた昨今だが、人手不足は一向に解消されないのが現状だ。若手をはじめ現役世代のビジネスパーソンの疲労は溜まる一方。事実、「日本の疲労状況」に関する全国10万人規模の調査では、2017年に37.4%だった…

    カテゴリー: 特集|タグ: , , , |

    藤井聡太の年間獲得賞金「1憶8000万円」は安すぎる?チェス世界チャンピオンと比べると…

    日本将棋連盟が2月5日、2023年の年間獲得賞金・対局料上位10棋士を発表。藤井聡太八冠が1億8634万円を獲得し、2年連続で1位となった。2位は渡辺明九段の4562万円、3位は永瀬拓矢九段の3509万円だった。史上最年少で前人未到の八大タ…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , |

    因縁の「王将戦」でひふみんと羽生善治の仇を取った藤井聡太の清々しい偉業

    藤井聡太八冠が東京都立川市で行われた「第73期ALSOK杯王将戦七番勝負」第4局を制し、4連勝で王将戦3連覇を果たした。これで藤井王将はプロ棋士になってから出場したタイトル戦の無敗神話を更新。大山康晴十五世名人が1963年から1966年に残…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
3Aで好投してもメジャー昇格が難しい…藤浪晋太郎に立ちはだかるマイナーリーグの「不文律」
2
高島礼子の声が…旅番組「列車内撮影NG問題」を解決するテレビ東京の「グレーゾーンな新手法」
3
あの「号泣県議」野々村竜太郎が「仰天新ビジネス」開始!「30日間5万円コース」の中身
4
「致死量」井上清華アナの猛烈労働を止めない「局次長」西山喜久恵に怒りの声
5
皐月賞で最も強い競馬をした3着馬が「ダービー回避」!NHKマイルでは迷わずアタマから狙え