スポーツ
Posted on 2024年12月19日 17:58

【追悼語録】巨人愛が強すぎた渡辺恒雄の「話にならん。相撲部屋で稽古させる」「長嶋はドラマチックすぎる」

2024年12月19日 17:58

「今年こそは優勝し、日本一に向けて頑張っていただきたいと、選手諸君にはお願いいたします」

 今年3月に行われた「第32回燦燦会総会」の檀上で、渡辺恒雄氏はそう語り、巨人ナインを鼓舞していた。日本一は逃したものの、「言いつけ」を守ってリーグ優勝を果たした巨人だったが、その言葉の主は世を去った。

 読売新聞グループ本社代表取締役主筆で、巨人のオ-ナー、読売ジャイアンツ取締役最高顧問などを歴任した大物が肺炎のため、12月19日未明に98歳で死去したのだ。

「燦燦会」で渡辺氏の発言を神妙な面持ちで聞いていた阿部慎之助監督はこの時、こう答えている。

「主筆も言われました通り、皆さまには残念な思いをさせっぱなしで、本当に心苦しく思っています。日本一をもぎ取って、みなさんで盛大にお祝いしていただけることを、僕の挨拶として代えさせていただきます」

 クライマックスシリーズ・ファーストステージ前日の10月11日に行われた「セ・リーグ優勝祝賀会」では「日本一奪回に向け、声援をお願いします」という渡辺氏からのメッセージが読み上げられた。この日、渡辺氏は体調不良のため祝賀会に姿を見せることはなかったが、日本一に対する強いこだわりは終始、変わることはなかった。

 思えば渡辺氏の日本一にかける思いは、かなりのものだった。1995年6月には巨人の不甲斐ない試合に激高。

「話にならん。全員、1割減俸だ。クソ食らえだ。ふざけんな! 相撲部屋に連れて行って稽古させないとな」

 一方で2000年に自身がオーナーになって初めて巨人がセ・リーグ優勝すると、

「男が泣くチャンスは一生に一度か二度だけ。それにしても、長嶋というのはメークドラマな男だ。ドラマチックすぎる」

 そう言うと、目に涙を浮かべたのである。

 巨人の歴史はいわば、渡辺氏の歴史でもある。その発言がメディアで大きく取り上げられ、世間の猛反発を食らうことは多かったが、良くも悪くもこれだけ日本のプロ野球界に貢献した人物はいないだろう。

 奇しくも巨人の球団創立90周年の年に亡くなった渡辺氏。来季は雲の上から「日本一に向けて頑張れ」と、巨人にハッパをかけていることだろう。

(ケン高田)

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/7/22発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク