大城卓三の「意地の1発」でノーヒットノーランを阻止した巨人。もしノーノーを喫していれば、2002年8月1日の中日戦(東京ドーム)で川上憲伸から食らって以来、23年ぶり9度目の屈辱となるところだった。
日本ハムとの6月19日の試合後、巨人・阿部慎之助監督は、
「なんとか意地を見せてくれたので。今日はそれでいいです」
とポツリ。5月15日以来の黒星となった先発・山崎伊織には、
「しっかり反省して対策を練って、次頑張ってもらいたい」
この日の大城は途中出場とはいえ、2番手の横川凱をリズムよく引っ張り、崩れかけた試合を立て直すなど、リード面でも貢献。一方で非難の矛先が向けられたのは、先発マスクをかぶった甲斐拓也である。
元巨人の宮本和知氏は、次のように指摘した。
「交流戦に入って、パ・リーグを最もよく知るはずの甲斐の先発試合で、1イニング複数失点が目立っている」
確かに1回で5失点が2試合、4失点が1試合あるなど、大量失点を招いている。甲斐は交流戦前、ソフトバンクで14年間、1023試合に出場した実績を元に、
「データはあります。捕手としてしっかり見るべきところはいっぱい見てやります」
そう言って自信をみなぎらせていたが、いったい何だったのか。
捕手起用をめぐる阿部監督の采配にも、釈然としないものはある。岸田行倫のリードで勝っても、翌日は甲斐に戻るのが常で、前回せっかく調子が上向いた戸郷翔征を、6月15日のオリックス戦でまたもや炎上させている。
バッテリーコーチは、何も進言しないのか…。5年15億円もの契約を結んだ経緯があるため、正妻として起用しなければならない事情があるのかもしれないが、大城や岸田などを柔軟に併用していく必要があるのではないか。
交流戦ではまさかの最下位争い繰り広げる巨人。期待した甲斐のデータがまるで参考にならなかったのは、大きな誤算である。
(ケン高田)