社会

【現実直視】「年金支給70歳」超高齢化時代が来る!最低限の自衛策は「雇用保険・個人年金・iDeCo」

 自営業で国民年金に加入している人は、4月からの年金保険料値上げに脱力したことだろう。前年度に月額1万6520円だった年金保険料は460円も値上がりし、年間5520円の「負担増」となる。

 たとえ給料が増えても、それ以上に健康保険料、年金保険料が値上がりするから、生活はますます厳しくなるばかり。2024年は国が公的年金財政の永続性、持続性を5年に一度検証し直す年でもあるが、年金保険料が値上がりしているというのに、さらに支払い期間が65歳まで延びる、年金支給開始時期が70歳まで先送りになるなどの「観測記事」が、各紙に掲載されている。

 結論から言えば、50代以下は年金支給額が70歳に引き上げられることを覚悟した方がいい。年金制度は、自分が支払った保険料を資産運用で増やし、あとからもらう「積立方式」ではなく、高齢者の人口と支出に応じて保険料が変動する「賦課方式」だからだ。

 厚労省のサイトから引用すると、賦課方式とは、

〈年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方式です。現役世代から年金受給世代への仕送りに近いイメージです。現役世代が高齢になって年金を受給する頃には、その下の世代が納めた保険料から自分の年金を受け取ることになります〉

 過去に自分が支払った年金保険料の「積立方式」だとしたら、物価上昇とバブル崩壊、リーマンショックでとっくに破綻している。その時代ごとに必要な支出額の分だけを現役世代から徴収するため、年金受給者は安定した生活を送れる一方、少子高齢化の影響で、現役世代の年金保険料は値上がりする一方だ。

 年金制度について書かれた新聞記事や夕刊紙、週刊誌の記事を見ると、年金制度を「積立方式」と勘違いして書いている論説委員や記者がいてビックリするのだが、少子高齢化時代に生きる我々が支払った保険料より、受け取る年金支給額の方が高くなることは、残念ながらありえない。

 ちなみに今の高齢者が現役世代だった1990年当時の平均寿命は男性75.91歳、女性81.77歳で、高齢者人口は約1500万人。対して年金保険料を納める18歳から64歳の生産年齢人口は7611万人もいたから、当時の国民年金保険料は、わずか月額7700円で済んだ。今の半額以下だ。

 この惨状に、大手企業が加盟する健康保険組合連合会(健保連)は4月23日の記者会見で、異例の声明を出した。

「給付は高齢者、負担は現役世代という仕組みはもはや限界に近づいている」

 健康保険制度と年金制度の綻びを指摘したのだ。

 少子高齢化のせいで、1990年には7611万人もいた生産年齢人口が、2040年には6200万人にまで減少し、65歳以上の高齢者人口は約4000万人まで増える。政府の有識者会議やシンクタンクの提言でも「年金支給は70歳から」「シニア層の就労促進」が規定路線なのだ。

 では実際に年金支給開始が70歳に引き上げられたら、どうすればいいのか。かつて金融庁が提言した「老後資金に2000万円貯蓄」がかなわなかった人は、少なくとも64歳までは働くと、ハラを決めるしかない。正しくは64歳11カ月だ。細かく月齢を刻むには、理由がある。

 定年後に現在の勤務先での嘱託や業務委託、再雇用を選択すると、64歳まで固定収入が得られるほか、誕生日の2日前、64歳のうちに退職すれば雇用保険の失業給付を得られる。特に失業保険の被保険者期間が20年以上、かつ過去に失業給付をもらっていない人であれば、会社都合なら最長240日、自己都合退職でも150日分の失業給付がもらえるのだ。

 65歳以上で退職すると「高年齢求職者給付金」として、一括で基本手当の30日分もしくは50日分しか支給されなくなる。むろん体力に不安がないなら失業保険などアテにせず、70歳まで固定収入を得た上で老齢年金をもらうのが理想的だ。

 老後資金として必要最低限、貯めねばならないのは、66歳から年金支給開始の70歳までの4年分の生活費となる。

 勤務先で企業型確定拠出年金に加入している人は、60歳からの受け取り分を資産運用に回し、65歳から受け取ればいい。国民年金のみで将来の老後資金に不安がある人は、個人年金と確定拠出年金(iDeCo)で備えるしかない。

 毎月の手数料が3000円近くかかるため、5000円程度の積立では損をする、また、新NISA同様に元本割れするリスクを指摘されているiDeCoだが、メリットもあって、自営業ならiDeCoの掛け金は全額控除になる。

 岸田政権による増税ラッシュの節税対策として、限度額の6万8000円を低リスクの銘柄、もしくは2種類の銘柄に分散して投資し、65歳以降に受け取ることで、国民年金の補填と年金支給開始までの生活費に充てることができる。新NISAにしてもiDeCoにしても、長期運用が元本割れを回避するポイントだ。

 ただし、年金支給70歳が実現したら、最もワリを食うであろう氷河期世代にとっては、残念ながらiDeCoの長期運用で資金を増やす前に老後を迎えることになる。ここでも他の世代より損切りリスクが高いことは、明記しておく。

(那須優子)

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