スポーツ
Posted on 2024年05月22日 05:58

【大岩ジャパンの苦悩】パリ五輪サッカー代表に海外組を招集できない「これだけの理由」

2024年05月22日 05:58

 パリ五輪でメダルを狙うU-23日本代表の周辺が騒がしくなってきた。

 8大会連続の五輪出場を決めた後、最終登録メンバー18名には誰が入るのかと、様々な意見が出ている。特に3人まで招集できる24歳以上のオーバーエイジ(OA)枠については、A代表の主力であるセンターバックの板倉滉、町田浩樹、MFでは遠藤航、田中碧ら海外組の名前が挙がっている。

 大岩剛監督のサッカーは攻守にアグレッシブで、攻守の切り替えの早さが持ち味。ボールを奪ったら、まずゴールを目指す。ボールを奪われたらすぐに切り替えて、奪い返す。その意識を全員が共有して、誰もサボらない。

 と同時に、世界で戦うには守備が大事だとして、後ろの選手を中心に招集すると言われている。ただ、海外組の招集は一筋縄ではいかない。

 ご存知の通り、五輪はFIFA主催の大会ではないため、強制力がない。だから所属クラブと交渉するしかない。前回の東京五輪は開催国ということもあり、予選免除で本大会出場が決まっていたため、早い段階から所属クラブと交渉できた。「開催国だから」という説得の理由もあった。でも、今回は簡単にはいかない。

 なぜなら、ヨーロッパの主要リーグの来シーズンの開幕は、ほとんどが8月17日。パリ五輪サッカー競技の日程は7月25日から8月10日までだ。日本が目指しているメダル獲得を達成するには、8月9日の3位決定戦、または10日の決勝に出場することになる。しかもそれまでは、中2日の連戦が続く。連戦による疲労を考えれば、リーグ開幕戦に出場するのは難しい。そんな厳しい日程のパリ五輪の招集に、所属クラブが簡単に応じるとは思えない。

 OA枠に名前が挙がっている板倉、町田といった選手は今夏、新天地への移籍の噂がある。移籍が決まれば、早くチームに合流してアピールする必要がある。パリ五輪に出場していてはポジションの確保どころか、ベンチ入りさえ難しくなる。

 OA枠だけではない。アジア最終予選に招集できなかった、久保建英ら23歳以下の海外組にも言えることだ。パリ五輪出場が決まり、大岩ジャパン最強メンバーを招集したいところだが、簡単にはいかない。

 パリ五輪予備登録50人の締め切りは5月末。そのメンバーに、海外組が何人選ばれるのか。サッカー協会の腕の見せどころだが…。

(渡辺達也)

1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

全文を読む
カテゴリー:
タグ:
関連記事
SPECIAL
  • アサ芸チョイス

  • アサ芸チョイス
    社会
    2025年03月23日 05:55

    胃の調子が悪い─。食べすぎや飲みすぎ、ストレス、ウイルス感染など様々な原因が考えられるが、季節も大きく関係している。春は、朝から昼、昼から夜と1日の中の寒暖差が大きく変動するため胃腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスが乱れやすく...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月18日 05:55

    気候の変化が激しいこの時期は、「めまい」を発症しやすくなる。寒暖差だけでなく新年度で環境が変わったことにより、ストレスが増して、自律神経のバランスが乱れ、血管が収縮し、脳の血流が悪くなり、めまいを生じてしまうのだ。めまいは「目の前の景色がぐ...

    記事全文を読む→
    社会
    2025年05月25日 05:55

    急激な気温上昇で体がだるい、何となく気持ちが落ち込む─。もしかしたら「夏ウツ」かもしれない。ウツは季節を問わず1年を通して発症する。冬や春に発症する場合、過眠や過食を伴うことが多いが、夏ウツは不眠や食欲減退が現れることが特徴だ。加えて、不安...

    記事全文を読む→
    注目キーワード
    最新号 / アサヒ芸能関連リンク
    アサヒ芸能カバー画像
    週刊アサヒ芸能
    2025/6/24発売
    ■620円(税込)
    アーカイブ
    アサ芸プラス twitterへリンク