芸能

「たけし金言集」笑かすことには誰よりも神経を使え!

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 昨年末に放送された、深夜の特番「ビートたけしのアナ雪のおかげで俺の映画が遅れちゃったぞTV」(TBS系)の中で、少しばかり“怖い”場面がありました。

 殿とたけし軍団が勢ぞろいした生放送は、殿がMCを務め、好き勝手な進行とデタラメな発言を繰り返す。それに対し軍団全員が客席から容赦なく野次を飛ばしてツッコむという、大変アナーキーな番組だったのですが、放送開始直後、ある若手の飛ばした野次が、殿の中でどうにも許せなかったようで、CMに入った途端、顔色を変えた殿は、

「おい、お前の野次は何だよ! つまんねーことばっかり言いやがって!」

 と、“マジ怒り”をあらわにされたのです。

 その野次は確かに殿が怒るのも無理はない、お門違いな野次でした。CM中、不機嫌そうにイラついていた殿でしたが、CM明けには何事もなかったようにさっきまでの“明るいたけちゃん”に戻り、その後、番組は盛り上がり、無事に生放送を終えると、忘年会も兼ねた真夜中の打ち上げへとなだれ込んだのです。この時、打ち上げ会場へ向かう道すがら、殿が“一瞬でもキレた”理由について、わたくしは考えていました。

 で、考えれば考えるほど、殿が普段からよく語ってくれる「お笑いに対する基本的な考え方」にたどり着いたのです。殿は、「芸人であること、笑かす側の人間であることを辞めないこと」という前提のもと、こう語っていました。

「芸人といった商売は世の中になくていい商売で、なくなったところで誰も困りはしない。そんな必要のない商売で飯を食っている自分たちは幸運なんだからこそ、笑かすことだけには誰よりも神経を使い、常に注意を払ってやってほしい」

 さて、夜中の3時から始まった打ち上げも、朝6時、やはり殿のこんな言葉でお開きとなりました。

「今日はちょっと収録中に怒ったけど、俺たちはプロなんだから、それで飯を食ってんだから。他がダメでも何でもいいんだけど、お笑いだけは誰よりも気を配って、神経を使ってやらなきゃダメなんだ」

 きっと、この日の殿は、流れにまかせて無神経な野次を飛ばした、その軽率さに対して無性に腹が立ったのでしょう。少しばかり重い話となりましたので、最後は“殿のお説教エピソード”の中でも、しっかりと笑えるやつを──。

 以前、グレート義太夫さんからお聞きした話です。

 その昔、殿が居酒屋で軍団相手にお説教をしていた時、説教をしながらも、目の前のナスの漬物を食べようと、はしでナスをつかもうとしたそうです。が、何度やってもナスはつかめず、結局、殿はナスの漬物を一度はあきらめたのですが、30分程すると、再びトライ。それでもつかめず再度あきらめたそうです。そして、朝まで続いたお説教から解放された義太夫さんが、何気なくナスの漬物のお皿を見てみると、皿の上には何もなく、ただ、ナスの模様の絵が描いてあったそうな‥‥。

◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

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