スポーツ

掛布雅之 ゴメスの頭脳と二塁争いがカギ

20150212q

 阪神は大型補強がないまま、「球界の正月」である2月1日のキャンプインを迎えました。鳥谷の残留という追い風は吹きましたが、球団内外から戦力についての不安の声が聞こえてきます。ただ、私がはっきりと言えるのは、「弱いチームではない」ということです。

 確かに昨季は日本シリーズに出場したとはいえ、リーグVの巨人に7ゲーム差をつけられました。その差を埋めるべく、目に見える戦力的な上積みはありません。しかし、チームには打点王のゴメス、首位打者のマートン、最多勝のメッセンジャー、最多セーブの呉昇桓、最多ホールドの福原とタイトルホルダーがずらりと顔を並べています。鳥谷、福留、西岡ら実績のあるビッグネームもそろい、決して弱いチームではないのです。

 ただし、間違いなく優勝争いに絡む「強いチーム」とも言い切れません。理由は懸念材料が多すぎるからです。首脳陣の期待どおりに各選手が働けば優勝を狙えるのですが、アクシデントが起きた時にどう対処するのか。私が特に心配しているのが、来日2年目のゴメスです。

 1年目の昨季は143試合に4番として出場し、打率2割8分3厘、26本塁打、109打点のすばらしい成績を残しました。当然、ライバル球団はデータを洗い出し、ゴメス対策を徹底してきます。もともと打撃は粗い面があり、昨季の166三振は球団の歴代ワーストの数字でした。今季も不動の4番として機能するためには、オフをどう過ごしたかが大事です。

 相手と同じようにゴメスも、球団からもらった配球などのデータで研究しなければいけません。誰しも同じことが言えるのですが、客観的なデータを見つめ直すと、実際に打席の中で感じていたこととズレが出てくるはずです。このズレを認識し、弱点を克服するための準備ができているかどうか。2年目のシーズンに向けては、体を仕上げる以上に、頭脳の準備も大切になってくるのです。

 外国人選手にとっては2年目が大きな分岐点です。相手のマークがきつくなる中で成績を残すと、長い間、日本で活躍できる選手になります。逆に1年目はよくても2年目はまったくダメになる選手も多いのです。危機感を持って2年目を迎えるか、日本の野球をナメてしまうか。どちらの道を歩むかは本人しだいです。

 もし、ゴメスが後者だとしたら、阪神打線は根幹が揺らぎます。なぜなら「一塁・4番」の代役はいないからです。昨季までならスペアとなりえた新井貴も広島に移籍しました。ケガをした場合も含めて代役がいないということは、大きな不安材料です。杞憂に終わればいいのですが、ゴメスが「使えなくなった場合」の手段をフロント、首脳陣とも早めに考えておくべきでしょう。

 そして、ゴメスとともに注目し、懸念しているのは西岡と上本の二塁のレギュラー争いです。この処置を和田監督が誤ると、チーム瓦解につながりかねない導火線に火がつきます。よけいな感情は捨て、信念を持って、実力だけで優劣をつけなければいけません。

 昨季はケガで泣いた西岡もプライドがあるでしょうし、上本も昨季の経験を生かせば、さらなる成長が見込めます。この二塁争いが正しく行われれば、間違いなくチームを活性化させるとともに、外野も含めて、他のポジション争いにも波及するはずです。虎の二塁は誰が奪うのか。キャンプインから目が離せない戦いとなります。

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<マイクロスリ―プ>意識はあっても脳は強制終了の状態!?

    338173

    昼間に居眠りをしてしまう─。もしかしたら「マイクロスリープ」かもしれない。これは日中、覚醒している時に数秒間眠ってしまう現象だ。瞬間的な睡眠のため、自身に眠ったという感覚はないが、その瞬間の脳波は覚醒時とは異なり、睡眠に入っている状態である…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<紫外線対策>目の角膜にダメージ 白内障の危険も!?

    337752

    日差しにも初夏の気配を感じるこれからの季節は「紫外線」に注意が必要だ。紫外線は4月から強まり、7月にピークを迎える。野外イベントなど外出する機会も増える時期でもあるので、万全の対策を心がけたい。中年以上の男性は「日焼けした肌こそ男らしさの象…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<四十肩・五十肩>吊り革をつかむ時に肩が上がらない‥‥

    337241

    最近、肩が上がらない─。もしかしたら「四十肩・五十肩」かもしれない。これは肩の関節痛である肩関節周囲炎で、肩を高く上げたり水平に保つことが困難になる。40代で発症すれば「四十肩」、50代で発症すれば「五十肩」と年齢によって呼び名が変わるだけ…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
【戦慄秘話】「山一抗争」をめぐる記事で梅宮辰夫が激怒説教「こんなの、殺されちゃうよ!」
2
巨人で埋もれる「3軍落ち」浅野翔吾と阿部監督と合わない秋広優人の先行き
3
神宮球場「価格変動制チケット」が試合中に500円で叩き売り!1万2000円で事前購入した人の心中は…
4
永野芽郁の二股不倫スキャンダルが「キャスター」に及ぼす「大幅書き換え」の緊急対策
5
「島田紳助の登場」が確定的に!7月開始「ダウンタウンチャンネル」の中身