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記事全文を読む→医師・帯津良一の健康放談「メタボ健診の罪は大きいと言わざるをえません」(1)
中高年男性の2人に1人がメタボリックシンドローム(以下、メタボ)予備軍と言われています。
そのため、肥満は健康の大敵と考える人は少なくありません。メタボになると心臓病や脳卒中、糖尿病にかかるリスクが高くなるからです。
確かに、病気を未然に防ぐための対策は必要ですが、血圧や総コレステロールなどの数値ばかりに捉われてはいけません。その理由は、日本人間ドック学会が定めたメタボの基準値を見るとよくわかります。
例えば、総コレステロール値。08年にメタボ健診がスタートする以前は250mg/dl以上を高コレステロールと呼んでいました。しかし、メタボ健診以降、220mg/dl以上を「高コレステロール」と呼ぶことになりました。
基準値の変更により、今まで健康だと診断されていた人たちまで、「病人」か「病人予備軍」に分類するようになったのです。今までは健康だったのに、学会が定めた基準値でメタボと診断され、薬でコレステロールや血圧を基準値まで下げられていた人が大幅に増えたことを考えると、メタボ健診の罪は大きい、と言わざるをえません。
変更された診断基準に当てはまり、治療薬を飲む患者さんが増えると、利益が上がるのが製薬会社であることは言うまでもありません。基準値を上下させるだけで、製薬会社の売り上げがかなり変わるのは事実です。「製薬会社を儲けさせるためのメタボ健診」と、厳しく指摘する人もいます。
私は、数値だけでメタボの烙印を押していくのはおかしいと考えています。病気のハードルを下げ、健康不安をあおって、治療対象者を増やしているにすぎない、と思えてなりません。実際、メタボの基準値は誰がどうやって決めたのか、なぜその数値なのか、医者である私自身にすらよくわからないところがたくさんあるのです。
しかも、メタボ治療で処方されるコレステロール値を下げる薬は、飲み始めたら一生、飲み続けなければいけません。数値が下がったら服用をやめていいわけではなく、「数値が下がったのは薬の効果ですから、ずっと飲み続けなさい」と指導されるのです。
こうした背景を医師やメディアなど各方面から指摘されました。そのことが原因かわかりませんが、去年4月、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が、新たな基準値を公表しました。人間ドックで検査を受けた150万人の検診結果データを解析し、血圧やコレステロールなどの数値を大幅に緩和する、男女別の新しい基準案を公表したのです。男性についてのいくつかの項目は次のとおりです。
●総コレステロール 151~254mg/dl
●中性脂肪 39~198mg/dl
●BMI 18.5~27.7(指数)
厚労省はいまだにメタボを固守していますが、一般的には考え方が変わったということでしょう。
◆プロフィール 帯津良一(おびつ・りょういち) 医学博士。東大医学部卒、同大医学部第三外科、都立駒込病院外科医長などを経て、帯津三敬病院を設立。医の東西融合という新機軸をもとに治療に当たる。「人間」の総合医療である「ホリスティック医学」の第一人者。
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