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Posted on 2024年11月16日 17:56

新日本プロレスVS全日本プロレス<仁義なき50年闘争史>「WRESTLE-1にかつての三銃士が集結!」

2024年11月16日 17:56

 2002年10月1日、武藤敬司が全日本プロレスの社長に就任したことで、日本プロレス界再編の気運が高まった。当時、新日本プロレスでは蝶野正洋が取締役になって現場監督として手腕を振るい、ZERO‒ONEの社長は橋本真也。かつての闘魂三銃士がそれぞれに団体を動かす立場になっていたからだ。

 武藤が全日本の社長になってまず手掛けたのは、K‒1プロデューサーの石井和義と手を組んだ「WRESTLE‒1」。総合格闘技イベントPRIDEを運営する、ドリームステージエンターテインメントが制作するという一大イベントだ。

「K‒1、PRIDEの大物格闘家がプロレスに挑戦する」というコンセプトだったが、実は武藤の「全日本に地上波のテレビを付けたい」というのが出発点。

 だが、放映を打診したフジテレビの当初の回答は「日本テレビが捨てたソフト(全日本)を拾って放送することはできない」という厳しいもので「時代に合った新しいパッケージの新しいプロレスならば」という提案をクリアするために純プロレスではなく、ブームになっていたK‒1、PRIDEの知名度がある格闘家も起用することになったのだ。さらに「すでにK‒1とPRIDEがある以上は、差別化するためにコテコテのエンターテインメントを見せる」というコンセプトになり、総合格闘技のリアル・ファイトとは対極のファンタジー・ファイトを打ち出した。

 蓋を開けてみれば、当時人気絶頂のボブ・サップを看板にした〝ボブ・サップのバトル・エンターテインメント〟を謳う、プロレスとも総合格闘技ともつかない不可解なイベントになってしまった。

 武藤にとっては不本意な部分も多かったが「とにかく全日本の選手を地上波に出して有名にさせたい」という気持ちを最優先させたという。

 11月17日、横浜アリーナにおける「WRESTLE‒1」第1回大会は1万2807人(満員)を動員。

 試合は小島聡&馳浩がマーク・コールマン(初代UFC世界ヘビー級王者&「PRIDEグランプリ2000」優勝)&ケビン・ランデルマン(第5代UFC世界ヘビー級王者)を迎え撃ち、小島がラリアットでランデルマンに勝利。総合格闘家としてPRIDEやDEEPに上がっていたドス・カラス・ジュニア(2001年に素顔のアルベルト・デル・リオとしてWWE王者)がマスクマンのサム・グレカラスに扮したサム・グレコ(K‒1歴代王者のブランコ・シカティック、アーネスト・ホーストに勝った実績があるオーストラリアのキックボクサー)と組んで太陽ケア&カズ・ハヤシに勝利するなど、プロレスラーVS大物格闘家によるプロレスルールの戦いが展開された。

 格闘家たちには、全日本の道場で馳がプロレスの技術を基本の受け身からしっかりと教えていた。

 橋本も友情出場して、〝拳聖〟と呼ばれた元ボクシング世界ヘビー級王者のジャック・デンプシーの曾孫と称してK‒1でもファイトした、ジョシー・デンプシーと対戦して三角絞めで快勝。

 メインはグレート・ムタVSボブ・サップ。主役のサップが6人のダンサーを従えてビースト・ダンスで華麗に入場。直後に場内が暗転してスモークがリングを包み込み、それが消えるとムタがリングにいるという非日常空間が演出された。

 試合はムタの毒霧、シャイニング・ウィザード、ムーンサルト・プレス、サップのラリアット、巨体を躍らせてのドロップキックが炸裂する好ファイトとなり、最後はサップがダイビング・ヘッドバットで勝利。

 試合後、先に引き揚げたムタがステージから花道に毒霧を噴くと火花がリングに向けて走り、サップが勝利のダンスを踊っているリングが爆発。黒い幕がリングを包み込むと、サップが消えた。最後まで非日常空間を演出した。

 総合格闘家をプロレスのルールで戦わせるエンターテインメントという路線は賛否両論起こったが、当時はテレビ朝日の新日本中継も日本テレビのノア中継も深夜だったことを考えれば、純プロレスではないとはいえ、フジテレビが11月26日19時から1時間枠で放送したことに意義があった。平均視聴率は8.4%、瞬間最高視聴率はムタVSサップ時の12%で、翌03年1月19日に東京ドームで第2回大会が行われることになった。

 フジテレビの放送、第2回大会決定ももちろんだがいちばん大きかったのは、橋本が友情出場しただけでなく蝶野がテレビのゲスト解説者を務めたことだ。

 蝶野は放送席に座るだけでなく、第4試合終了後にリングに上がって「ファッ〇ユー、武藤! 武藤、橋本‥‥2人に言っとくぞ!新日本が一番だ! 俺が一番だ、オラッ」とアジり、試合になると橋本は放送席の蝶野を指差して挑発し、ムタは手招き。〝その後〟を期待させるようなアクションが生まれた。

 しかし〝その後〟は意外な展開になった─。

小佐野景浩(おさの・かげひろ)元「週刊ゴング編集長」として数多くの団体・選手を取材・執筆。テレビなどコメンテーターとしても活躍。著書に「プロレス秘史」(徳間書店)がある。

写真・ 山内猛

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