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Posted on 2025年04月05日 17:56

新日本プロレスVS全日本プロレス<仁義なき50年闘争史>「2013年から明暗を分けた新日本と全日本」

2025年04月05日 17:56

 株式会社ブシロードが親会社になった2013年から、新日本プロレス一強時代が続いた。

 24年にブシロード体制の象徴だったオカダ・カズチカが米国AEWに移籍したこともあり、現時点では新たなエースが確立されていないが、25年は1月4日と5日の東京ドーム2連戦でスタートするなど、団体の規模、選手層の厚さは他団体をリードしている。

 新日本と同じく今年で旗揚げ53周年を迎える全日本プロレスは武藤敬司体制だった12年11月1日に企業再生支援会社の株式会社スピードパートナーズ(以下、SP社)の白石伸生オーナーに買収されてから苦難の道を歩んできた。

 武藤と白石は旧知の仲であり、当初は資金を投入してくれる白石は全日本の救世主だったが、ガチンコプロレスを提唱したり、新日本を批判したり、リング内に口を出すようになって選手、ファン、他団体の関係者の反発を買い、13年6月には全日本分裂騒動に発展し、武藤は会長職を辞してW ‒1なる新団体を設立。全日本の選手のほとんどが武藤に追従した。

 そうした中、全日本プロレスという名前に思い入れがある諏訪魔、秋山準、渕正信らが残留。さらに元大相撲横綱の曙、現在の全日本のエースである宮原健斗が加入したことで、全日本は存続された。

 だが、白石体制の全日本は1年弱しかもたなかった。選手たちへのギャラの遅延などがある中、14年6月6日に秋山が記者会見を開いて「7月1日から自分が社長になって、新たな全日本プロレスをスタートさせる」と発表したのである。

 そして7月4日、ザ・キャピトルホテル東急で秋山らの新生・全日本プロレスが、秋山を代表取締役社長、諏訪魔を専務取締役とする新会社オールジャパン・プロレスリング株式会社の設立を発表。取締役相談役としてジャイアント馬場夫人の馬場元子も名を連ね、秋山は「白石氏から離れて新しい会社を作りたいということで、元子さんに相談させていただき、背中を押してもらいました」と語った。

 馬場亡き後、00年6月の三沢光晴らの大量離脱騒動から02年10月に武藤にバトンを渡すまで全日本の社長を務めた、馬場元子は馬場が72年9月に登記した全日本プロ・レスリング株式会社が白石に売却され、運営会社が全日本プロレスリングシステムズになってしまったことに憤りを覚えていた。

 そして秋山から相談を受けた際に、株式会社ケーブルテレビ山形らと出資して全日本プロレス・イノベーション株式会社を設立。同社が運営するプロレス興行会社としてオールジャパン・プロレスリング株式会社が誕生したのだ。

 全日本の運営は全日本プロ・レスリング株式会社→株式会社全日本プロレスリングシステムズ→オールジャパン・プロレスリング株式会社へと移り変わっていったが、商標権を持つ白石との交渉により「全日本プロレス」の名称を継続使用できることになった。

 こうして秋山・全日本は「王道回帰」を掲げてスタート。ところが1年後には経営危機を迎えてしまう。15年7月末日でKENSOが契約満了で退団したのを皮切りに、潮崎豪が9月末日、取締役だった曙が11月2日、鈴木鼓太郎が11月末日、金丸義信が12.15後楽園を最後に退団したのである。

 全員が会見を行っての円満な退団だったが、15年7月の契約更改後に相次ぐギャラダウンの契約変更があったことが理由だ。

 11月にオールジャパン・プロレスリングは全日本プロレス・イノベーションとの関係を解消し、現在の代表取締役社長の実業家・福田剛紀が12月から筆頭株主の形で経営を引き継ぎ、秋山は社長に留任。諏訪魔は専務取締役を辞任し、16年1月1日付で大森隆男が取締役に就任した。

 その後、16年2月に宮原が三冠ヘビー級王座を戴冠したことで、全日本の会場の空気は一変した。派手な入場シーンやパフォーマンスで新たなファンを獲得。

 馬場の「王道」とは相反するカラーでもあったが、宮原は「当時の全日本にはネームバリューがある人がいっぱいいたのに集客が見合わず、昔の貯金でやっている感じがしたんで〝おじさん臭いイメージ〟をわかりやすく変えたくてやったことですね」と振り返る。

 それでも経営状態は好転せず、19年7月にオーナーの福田が自ら社長に就任。秋山は現場を担当するGMになったが、00年にはコロナ禍という事態に陥る。

 苦しいのは全日本だけではない。プロレスリング・ノアも16年11月に運営・興行・関連事業をITシステム開発会社のエストビー株式会社に譲渡して、ノア・グローバルエンタテインメント株式会社という新会社になり、19年1月にはリデットエンターテインメント株式会社の子会社に。1年後の20年1月には株式会社サイバーエージェントの子会社になり、「プロレスリング・ノア」の看板は変わらなくても、現在は株式会社サイバーファイトのノア事業部である。

小佐野景浩(おさの・かげひろ)元「週刊ゴング編集長」として数多くの団体・選手を取材・執筆。テレビなどコメンテーターとしても活躍。著書に「プロレス秘史」(徳間書店)がある。

写真・山内猛

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